東レ、PFASフリーの先端半導体向けモールド離型フィルムを実用化
東レは5月22日、PFAS不使用の先端半導体向けモールド離型フィルムを実用化したと発表した。
PFASは、半導体の表面処理や衣類の撥水加工剤などに使われる有機フッ素化合物。あらゆる製品の高性能化・高機能化に利用されているが、難分解性の性質を持ち、環境への流出量を抑制するため欧州で規制が検討されている。
半導体の製造工程で、ICチップを外部環境から保護するためにモールド樹脂を覆う工程をモールド工程という。このモールド工程では金型汚染防止のため、モールド樹脂と金型の間に離型フィルムを用いるが、最先端の半導体ではモールド樹脂などに起因する金型汚れや、先端半導体のモールド形状の複雑化に伴い、モールド成形時の離型フィルム破れ、離型フィルムのシワのモールド樹脂への転写といった課題が顕在化するようになっている。
今回実用化したフィルムは、PFASを含まない材料で作られ、同社独自の「NANOALLOY(ナノアロイ)」技術によってガスバリア性と耐熱柔軟性を備えている。ガスバリア性により金型汚れの原因物質を遮断することで金型汚れを従来比1/5以下まで抑制し、耐熱柔軟性によりモールド成形時のフィルム破れとシワの転写を抑制することに成功した。同フィルムは、半導体製造の稼働率向上に寄与することが実証されており、昨年から量産体制を構築し販売を開始している。