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岐阜大学、軽量化とジオメトリー改良で圧巻の走り。異例のファイナル7で見せたファステストラップ更新「1分13秒371」|学生フォーミュラ 2024

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岐阜大学、軽量化とジオメトリー改良で圧巻の走り。異例のファイナル7で見せたファステストラップ更新「1分13秒371」|学生フォーミュラ 2024
総合成績5位の岐阜大学チーム(岐阜大学チームより提供)

2024年の学生フォーミュラ大会で大きな存在感を示したのが岐阜大学だ。車両作成の段階で多くのトラブルに見舞われ、アップデートした部分では修理が必要になることも多々あった。しかし、チームは一丸となって問題を乗り越え、最終日のエンデュランスファイナル7で驚異的なパフォーマンスを披露した。

例年のファイナル6に加えて、2024年の大会では1枠が追加されるという異例の展開となった。その枠を見事に勝ち取った岐阜大学は、「1分13秒371」というファステストラップを叩き出し、エンデュランスの舞台で圧倒的な走りを見せつけたのである。今回は、チームの奮闘を支えたマネージャーの高木覚登さんに話を伺った。

【学生フォーミュラ2024 岐阜大学チームの成績】
・総合優秀賞:5位
・スキッドパッド賞:2位
・耐久走行賞:2位
(学生フォーミュラ日本大会2024 公式通知より)

TEXT:庭野 ほたる(Hotaru Niwano)
PHOTO:岐阜大学チームより提供
主催:公益社団法人自動車技術会

異例のファイナル7、岐阜大学が次々とラップタイムを更新

エンデュランスではベストラップを次々と更新する(岐阜大学チームより提供)
エンデュランスではベストラップを次々と更新する(岐阜大学チームより提供)

岐阜大学チームは、最終日のエンデュランスでファイナル7に登場。注目が集まる中、チームが取った戦略は、エースドライバーを第1ドライバーに起用し、オートクロスで走れなかった悔しさを晴らすべく、ベストラップ更新を狙うことだった。

その期待に応えるべく、岐阜大学は1周目で1分16秒087を記録し、その日のコースレコードを更新。直後に日本自動車大学校が1分15秒179でさらにタイムを上げたが、岐阜大学はここから毎周ラップタイムを更新するという圧巻の走りを披露する。2周目には1分14秒997、3周目はパイロンタッチがあったものの1分13秒821。そして、4周目に1分13秒796、5周目では1分13秒405と次々にタイムを更新。ついに10周目で、1分13秒371を叩き出し、ファステストラップを更新した。

この結果は、岐阜大学が有する2人のドライバー、そしてチーム全体の力を証明するものであり、学生フォーミュラならではの熱い戦いが繰り広げられた。

6kgの軽量化と足回りの改良で車両をアップデート

足回りのアップデートが安定した走りを実現した(岐阜大学チームより提供)
足回りのアップデートが安定した走りを実現した(岐阜大学チームより提供)

岐阜大学の車両開発の軸となったのは、軽量化と足回りの改良だ。特に軽量化に関しては、昨年の車両が227kgだったのに対し、今年は221kgと約6kgの軽量化を実現した。車両全体の各部位で削れる部分を徹底的に見つけ出し、少しずつ重量を減らすという地道な工夫の結果である。

また、もう一つの大きな改善点が足回りだ。昨年の車両挙動を見直し、ジオメトリーを大幅に変更した。「オートクロスでは、序盤で多くの車がスピンする場面が見られました。しかし私たちの車がしっかりとコーナーを踏み込んで安定した走りを維持できたのは足回りの改良が功を奏していると思います」と高木さんは語る。

軽量化の代償、部品の耐久性とパワートレインの課題

耐久性が課題だったと振り返る(岐阜大学チームより提供)
耐久性が課題だったと振り返る(岐阜大学チームより提供)
著者
庭野ほたる

愛知在住のライター。サービス業、営業職を経て、なぜか自動車・航空機の開発設計に携わることに。これまでに自動車の内装製品や、航空機の構造部品の設計を15年以上手がける。樹脂設計には10年以上関わっており、「ヒケ」という言葉を聞くと心拍数がちょっとだけ上がる。今はさまざまな生成AI(文章、画像、動画、音楽)にハマリ中。

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