NITE、新たな大型蓄電池実験棟が完成。硫化物系全固体電池の試験実施へ
製品評価技術基盤機構(NITE)は5月20日、大型蓄電池システムの試験施設「NLAB先端技術評価実験棟(MIDDLE チャンバー)」が完成したと発表した。
NITEは、工業製品などの技術上の評価を行うとともに、工業製品の品質に関する情報の収集、評価、整理及び提供を行い、工業製品の品質の向上や、安全性の確保などを整備する経済産業省所管の施設。
これまでNITEでは、既設の多目的大型実験棟「ラージチャンバー」を利用。主に定置用を中心とした大型蓄電池システムの試験評価を実施し、国内の蓄電池産業の発展に貢献してきた。
新設のMIDDLE チャンバーは、既設のラージチャンバーの能力を保持しつつ、排煙処理において、硫化水素ガスの処理を可能とし、硫化物系全固体電池など次世代蓄電池の試験を安全に行うことができる点が大きな特徴。次世代蓄電池を搭載したEVをはじめ、電動バス・電動トラックなどの大型EVについても、車載蓄電池を搭載した状態で試験ができる。こうした施設は現在、国内でMIDDLE チャンバーが唯一となり、これからのEVや蓄電池を用いたモビリティの普及における安全性の評価に欠かせない施設となると期待されている。
今後は、全固体電池の試験実施に向けた準備やトレーニングを今年度上半期に行い、10月以降に事業者から共同試験の受け入れを開始する予定。