マツダの型式指定申請における不正、「ロードスターRF」「MAZDA2」など5車種

1月26日に国交省から要請を受けた「型式指定申請における不正行為の有無等に係る実態調査」（国自審第2018号）に基づき、同社は、調査対象期間（2014年1月から2024年1月の10年間）における全ての型式指定申請2,403試験を対象に調査を行った。

今回判明した不正の対象となるのは現行モデルを含む5車種で、生産実績として15万878台、販売実績として14万9,313台にのぼる。5月31日に国土交通省に調査内容を報告した。

不正があったのは、生産中の2車種（ロードスターRF、MAZDA2）と、生産終了した3車種（アテンザ、アクセラ、アテンザ／MAZDA6）。いずれも日本市場向けの商品改良モデル。

現行モデルの2車種では出力試験におけるエンジン制御ソフトの書換えがあり、ガソリンエンジンの原動機車載出力に対する認証試験において、量産車両と同一状態のエンジン制御ソフトにより出力試験を行うべきところ、点火時期補正機能の一部を停止させた制御ソフトによる試験実績があった。

該当車種は以下の通り。

・「ロードスターRF」（商品改良モデル）
生産時期：2018年6月～（生産実績 1万930台）
販売時期：2018年7月～（販売実績 1万760台）
・「MAZDA2」（1.5リッターガソリンエンジン搭載 商品改良モデル）
生産時期：2021年6月～（生産実績 4万2,240台）
販売時期：2021年6月～（販売実績 4万1,361台）

今回の調査結果を踏まえ、上記2車種の出荷を5月30日より一旦停止。同試験については、安全性に関連するものではないため、ユーザーは当該車両を引き続き使用できるという。今後は速やかに量産車と同じ状態で再試験を行い、改めて型式指定について当局の審査を受ける準備を進めていく。

生産終了モデルの3車種では衝突試験における試験車両の不正加工があり、前面衝突時の乗員保護に対する認証試験において、エアバッグを車載センサーの衝突検知による自然起爆ではなく、外部装置を用いて時間指定で起爆させた試験実績があった。

該当車種は以下の通り。

・「アテンザ」（商品改良モデル）
生産時期：2014年11月～2018年4月（生産実績 2万9,547台）
販売時期：2015年1月～2018年5月頃（販売実績 2万9,505台）
・「アクセラ」（商品改良モデル）
生産時期：2016年8月～2019年2月（生産実績 4万6,067台）
販売時期：2016年9月～2019年3月頃（販売実績 4万6,046台）
・「アテンザ／MAZDA6」（商品改良モデル）
生産時期：2018年4月～2024年4月（生産実績 2万2,094台）
販売時期：2018年6月～（販売実績 2万1,641台）

社内で技術検証と再試験を行い、前面衝突時の乗員保護性能について法規で定められた基準を満たす性能を有していることを確認しているため、ユーザーは当該車両を引き続き使用しても安全性の問題はないという。今後速やかに法規適合性の確認などの適切な対応を国交省と相談しながら進めていく。

同社は不正の原因として、「試験が認証法規に準拠した状態で実施されたかをチェックする仕組み、およびガバナンス体制の整備不足」「認証法規に準拠した試験を実施するための手順の不備」「認証法規に準拠した試験条件を安定的に満たす設備の整備不足」の3点を挙げた。

今後、以下の再発防止策をとる方針。

1．試験が認証法規に準拠した状態で実施されたかをチェックする仕組み、およびガバナンス体制の再整備
2．認証法規に準拠した試験を適正に実施するための手順書の見直し・教育・実践の徹底
3．認証法規に準拠した試験条件を安定的に満たす設備の整備強化

同社は「本事案を重要な問題と捉えており、このような事案が今後発生することのないよう経営の責任において再発防止に努めていく」とコメントしている。