三菱自動車が考える商用車のEV化。ポイントは走行距離よりも静粛性にあった|BICYCLE‒E·MOBILITY CITY EXPO 2024
電気自動車(EV)を購入する際に「注目するポイント」はなんだろうか。一般消費者であれば、利便性や航続距離の関係が中心になるかもしれない。ところが、商用車を購入する事業者、主に配送業者の着眼点はそこではないという。三菱自動車工業の担当者に、詳しい話を聞いた。
TEXT:久保田 幹也(Mikiya Kubota)
PHOTO:村上 弥生(Yayoi Murakami)
事業者の6割は急速充電を「選択しない」
今回、三菱自動車工業は、新型商用車であるミニキャブEVを展示。先代に相当するミニキャブ・ミーブの開発で培った知見と、販売で獲得したノウハウを最大限に活かした新モデルである。
最大の特徴は航続距離の延長。電動系コンポーネントの見直しにより、1回のフル充電で走行できる距離は、ミニキャブ・ミーブから約35%増の約180kmにまで延長された。充電時間は、普通充電で7.5時間。最大出力電流が60A以上の急速充電器を使用すれば、約42分で80%充電できるという。動力に不安が残るEVでも、昼休みなどの短い時間でも8割近く充電できるのであれば、その不安は解消されるだろう。
ところが、同社担当者いわく「急速充電機能を選択するお客様は、全体の4割程度」とのこと。理由は、利便性よりも充電器の設置費用にある。
普通充電を行う充電器であれば、自立型で25万円程度が相場である。ところが急速充電器については1台で100万円を超えるケースもめずらしくない。もちろん、1台急速充電器を設置しただけでは商用車全部をカバーできないため、結果的に普通充電のみに対応したミニキャブEVを選択する事業者が多いという。
「後付けはできないので、お客様には慎重にご検討いただいています」とのこと。だが、普通充電のみに対応したミニキャブEVを選択してしまい、後悔してしまう購入者も多いということだ。