旭化成エレクトロニクス、EV向けコアレス電流センサー「CZ39シリーズ」発売
旭化成エレクトロニクスは2月21日、SiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)などを用いた次世代パワーデバイスと親和性の高い電気自動車(EV)向けコアレス電流センサー「CZ39シリーズ」の量産および販売を開始したと発表した。
旭化成グループではデジタルソリューション事業をマテリアル領域の重点成長分野に位置づけている。同社が推進する電子部品事業ではコア技術であるセンサー技術、アナログ設計、ソフトウェア技術を融合し、バリューチェーン・顧客提供価値に重点を置いたソリューションを提供している。
世界で販売拡大が加速するEVでは、安全性の向上とともに、航続距離を延ばすため搭載する部品の小型化や軽量化が求められている。充電に関しては、発熱や電池の劣化を抑えつつ高速で充電を行うという高度な制御が必要となっている。
同製品では同社の化合物半導体・パッケージ・回路技術を用い、高速応答性・低発熱・高耐ノイズ性を実現。これらの特徴は、SiCやGaNなどを用いた高電圧かつ高速でスイッチング(※)をする次世代パワーデバイスを使用する際の電流センシングに求められる性能で、自動車に搭載される充電器 (On Board Charger、以下「OBC」) や直流電圧を変換するDC/DCコンバーターの小型化に貢献する。同製品は、その高速応答性から過電流を遮断し、安全性を高める電子ヒューズ(E-Fuse)システムにも使用できるという。
車載充電器用途などに向けて販売する。
※電流の流れについて、オン(通電)とオフ(遮断)の状態の切り替えを高速で繰り返すこと
製品の特長
1.100ナノ秒(1000万分の1秒)の高速応答で電流を検知
化合物ホール素子の高感度特性を生かし、高速応答を実現。
SiC や GaN などを用いた次世代パワーデバイスを使用するOBCやDC/DCコンバーターに同製品を使うことで、スイッチング周波数の高周波化が可能となり、モジュールを小さく設計することができる。
その高速応答性から過電流保護の用途にも利用可能。同製品を用いることで、システムにとって危険な過電流を検知した際に自動的に電流を遮断する電子ヒューズ回路を実現できる。
2. 一次導体抵抗0.3mΩにより発熱低減で熱設計が容易に
同製品は、デバイス内に流す電流を計測するコアレス式の電流センサー。
独自のパッケージを開発することで、一次導体の抵抗値を0.3mΩまで抑えた。環境温度125℃で40Armsの電流を連続通電でき、発熱も抑えることができるため、熱設計が容易になる。加えて、沿面距離と空間距離を十分確保した耐圧構造を採用し、650Vを超える高耐圧アプリケーションにおいても使用できる。
3.高速スイッチング動作時においてもノイズの影響を抑えつつ電流検出が可能
SiCやGaNなどを用いたパワーデバイスでは、高電圧かつ高速のスイッチングを行うため、センサーの動作や測定結果に影響を与える電磁波ノイズが強く発生する。同製品は同社の化合物半導体技術、パッケージ技術、回路技術を組み合わせることにより、そのような環境においてもセンサー特性への影響が発生しにくい設計とし、ノイズの影響を抑え電流検出ができる。