レゾナック、EV向け高性能ディスクブレーキパッドを開発。高い制動力と耐摩耗性を実現し、2026年量産化を目指す
レゾナックは、電気自動車(EV)に搭載する電動ブレーキシステムへの採用を見据えたノンアスベスト系摩擦材(NAO材)の高性能ディスクブレーキパッドを開発したことを発表した。ガソリン車と比較し車体重量が重いEVでの使用環境下において、高い制動力と耐摩耗性を発揮する。
本ブレーキパッドは原材料にアスベスト(石綿)や鉄を含まず、ブレーキ時の摩耗が少ないため環境負荷が低く、静粛性に優れるのが特長とされている。素材の特性を生かした配合の工夫等により、欧州で主流のロースチール系ブレーキパッドと同等レベルの高いブレーキ性能が実現された。
近年、自動車業界においては、カーボンニュートラルなどの環境問題へ対応するためEV化が急速に進んでおり、世界の新車販売のうちEVが占める割合は、2035年には50%に達すると予想されている※1。EV向けのブレーキパッドは、車体重量の増加によりブレーキへの負荷が高くなることに加え、回生協調ブレーキ※2との適合性も重要となる。さらに、2028年以降欧州で適用される新環境規制「EURO-7」では、ブレーキの摩耗による粉塵も規制の対象となることから、制動力に優れ、かつ摩耗の少ないブレーキパッドが今までにも増して求められている。
今回、レゾナックが開発したブレーキパッドはEV搭載時においても、安定して高い制動力を発揮する。また、耐摩耗性においても、WLTP※3走行モードを模擬したブレーキ台上評価において、一般的な欧州ロースチール系ブレーキパッドの30%以下の摩耗粉排出量が実現された。現在、2026年量産化を視野に、欧州Tier1ブレーキシステムメーカーにサンプルを提供し、電動ブレーキシステムへの適合性評価が進められている。
※1 2024年4月23日発表 国際エネルギー機関(IEA)年次報告書「世界のEV展望」より
※2 回生協調ブレーキ:
EVに搭載されるブレーキシステムで、回生ブレーキと摩擦ブレーキを組み合わせて効率的な減速を実現する。車両の減速時に発生する運動エネルギーを電力に変換し、バッテリーに蓄えることでエネルギーを再利用できる。
※3 WLTP(Worldwide harmonized Light duty driving Test Procedure):
車両の燃費や排出ガスの測定方法の国際基準。現実の運転状況に近い条件で試験を行うことで、正確な燃費と排出ガスの情報が提供できる。