三菱ふそうトラック・バス、バッテリー交換式EVトラックの公道実証をヤマト運輸・Ample社と開始
三菱ふそうトラック・バス(以下、MFTBC)は、2024年8月より、バッテリー交換式の電気自動車(EV)トラックの公道実証を開始する。本実証では、Ample Inc.(米国)の交換モジュールを装着したMFTBCのバッテリー交換式の電気小型トラック「eCanter」が使用される。京都市内に設置されたAmpleのバッテリー全自動交換ステーションにおいて、ENEOSホールディングスと連携して「eCanter」のバッテリーの交換が行われる。ヤマト運輸がバッテリー交換式の「eCanter」を京都市内の集配業務に使用する。
バッテリー交換式EVトラックの公道実証では、バッテリー残量が少なくなった「eCanter」がバッテリー全自動交換ステーションに入庫すると、ロボットが自動でバッテリーを交換する仕組みで行われる。バッテリーの交換時間の目標は5分に設定されている。MFTBCは2023年のジャパンモビリティショーにて本技術を展示しており、次の段階として公道での実証が行われる。MFTBCおよび参加各社は、実用における利点や課題の洗い出し、技術の拡張性の確認を行い、日本における将来的な実用化の検討が進められる。
本実証は、MFTBCにとってEVトラックのさらなる普及拡大を目指すうえでの重要な取り組みとなっている。MFTBCは全世界で1,200万km以上を走行している既存の「eCanter」に加え、バッテリー交換式EVトラックの商業化が目指されている。それによって、従来のディーゼル小型トラックに匹敵する多様な用途への対応をEVトラックでも可能にし、より多くの顧客の物流のカーボンニュートラル化に貢献する。
MFTBCが2023年3月に発売した「eCanter」新型モデルは、3つのバッテリーサイズで航続距離を選択できるほか、国内モデルでは28の型式によって多様な架装・用途に対応できるのが特徴で、排出ガスゼロや低振動、快適性、静粛性といったEVトラックならではの価値を顧客に提供している。
一方で、バッテリー交換式EVトラックは、航続距離にとらわれない運用やさらなる用途拡大、車両非稼働時間の大幅な短縮などにつながり、EVトラック利用の可能性を広げることができる。また、交換式バッテリーは技術の進化に合わせて最新のものを導入すれば、ユーザーは常に最先端のバッテリーを利用することができる。なお、今回の実証では、ダイムラー・トラック・ファイナンシャルサービス・アジア(以下、DTFSA)が、「eCanter」専用リース商品「FUSOグリーンリース」を用いて、バッテリー交換式EVトラックのビジネスモデルの検討も行われる。「FUSOグリーンリース」は車両整備や保険、パートナー間の契約関係、車両登録、月々の支払い形態といった、包括的な金融ソリューションが提供される。
あわせて、バッテリー全自動交換ステーションが新たなエネルギー供給インフラとして普及していくための運用ノウハウ蓄積と将来的な商業化に向けた課題の洗い出しが行われる。Ampleのバッテリー全自動交換ステーションは、EVトラックのみならず、乗用車と共用できる点が大きな強みとされている。Ampleのバッテリー全自動交換ステーションをEV向けバッテリー交換のインフラとして定着させることができれば、脱炭素社会の構築に向けた社会全体の課題であるゼロエミッション車両の普及において、大きな原動力となると見込まれている。