ロールス・ロイス、ラグジュアリーSUV「カリナン・シリーズ2」を発表。若い世代の支持狙う
ロールス・ロイスは8月29日、スーパーラグジュアリーSUV「Cullinan Series II(カリナン・シリーズ2)」と「Black Badge Cullinan Series II(ブラック・バッジ・カリナン・シリーズ2)」を日本で初披露した。
カリナンは、ブランド初のSUVとして2018年に初代モデルが発表され、同社の「スーパーラグジュアリー」を再定義したモデル。初登場時、自身で運転するオーナーは70%未満だったが、現在ではほとんどのオーナー自らが運転するため、運転手を利用するユーザーは10%を下回る。顧客の平均年齢も2010年の56歳から43歳に下がり、全製品の中で最も需要の高いモデルへと成長したという。
シリーズ2は、カリナンの本質的な要素を受け継ぎながら、都市集中的な生活や若い顧客層、自身で運転することを好むユーザーの割合増加に伴い、さらに大胆な表現力や最新テクノロジーの統合、新素材、現代的な工芸技法を取り入れて開発された。
エクステリアは、フロントのデイタイム・ランニング・ライトのデザインをグラフィカルで垂直性なものを採用しているのが特徴。ライトの下には、シンプルで特徴のあるラインと鮮明なエッジを施し、ゆったりとしたプロポーションと存在感を強調。バンパー・ラインはライトの下からクルマの中心に向かって浅い「V」を描き、現代のスポーツ・ヨットの船首をイメージした。エアインテークは外向きに角度をつけ、正面から見たときに車を視覚的に低く見せる効果を狙った。
エクステリア・デザインの格となるのは、イルミネーテッド・パンテオン・グリル。今回初採用されたイルミネーテッド・グリルは、前縁を低く下げて刷新したほか、デイタイム・ランニング・ライトとの間にポリッシュ仕上げの水平な「ホライゾン・ライン」を追加し、同社のファントム・シリーズ2との繋がりが感じられるデザインとした。
フロント・フェンダーは垂直なラインを保ちつつ、テールライトからリア・ホイールのフローティング「RR」センター・キャップへラインを追加することで、サイドのサーフェンシングにも変化を加えた。ペイントワークはハイグロス・ブラックを採用。
リアは大胆な力強さを表現。ポリッシュ仕上げ・ステンレス製のエグゾースト・サラウンドは、ボディと同一平面上に収め、エキゾーストの間にはブラッシュ仕上げのステンレス製保護プレートを装備した。
ホイールは、カリナンでは初導入となる23インチ・ホイールを採用。立体的で高度なファセット加工が施されている7スポーク・デザインのホイールで、加工を部分的または全面ポリッシュ仕上げから選択できる。ブラック・バッジ・カリナン・シリーズ 2には10スポークホイールを装着し、ポリッシュやペイント、エングレービングなどを調整することで、5スポークで構成されているような視覚的効果をもたらす。
インテリアは、エクステリアの原則を反映した装飾とディテールを施す。最も大きな変化は、デジタルと物理的なクラフトマンシップを融合させたガラスパネルのフェイシアで、「SPIRIT(スピリット)」と名付けられたデジタル・インターフェースを採用している。
同社の電気自動車(EV)「スペクター」にも採用されている、イルミネーテッド・フェイシア・パネルを助手席前部に配置。特別開発された技法により、レーザーで7000個のドットがエッチングされ、「カリナン」の文字とグラフィックが光で浮き上がる。既成デザインに加え、ユーザー自身でビスポークのイルミネーテッド・フェイシアのモチーフを作ることも可能。
フェイシアパネルの隣には、同社初となるスピリット・オブ・エクスタシー・クロック・キャビネットを導入。はめ込み式ケースとなっており、アナログ式のタイムピースと、ライトで浮かび上がるスピリット・オブ・エクスタシーがディスプレイされている。スピリット・オブ・エクスタシーはステンレス製で、反射効果を生むマット・ブラックのバックパネルと、光沢のあるサイドパネルの台座に配置した。
インテリア・パレットには、木目の天然オープンポア材「グレー・ステンド・アッシュ」を新たに導入。1本ずつ厳選した樹種により作られたベニヤシートを手作業で染色し、微細な金属粒子を加えた。
シートには、レザーの表面に小さな穴を施したアートワーク「プレースド・パーフォレーション」を採用。ロールス・ロイスの職人が開発した新しい現代的な工芸技術で、シリーズ2で初めて採用された技術となる。「グッドウッドのホーム・オブ・ロールス・ロイスの上空で絶えず変化する雲の形と影」からインスピレーション受けデザインされたもので、1人の職人による0.8ミリメートルと1.2ミリメートルのパーフォレーションが、最大10万7000個施されている。
新たな選択肢として竹から作られたレーヨン生地「デュアリティ・ツイル」を開発。ヘンリー・ロイス卿が冬季を過ごしたヴィラ・ミモザに隣接する、コート・ダジュールの「地中海の庭園」の竹林から着想を得ており、ツイル織りのテキスタイルに、創業者のイニシャルであるRの二重文字を抽象的に解釈したモチーフをあしらい、セーリング・ヨットのロープが織り成すラインを想起させる船舶のデザインを採用した。
熟練した織物職人と1年以上をかけて実現した素材は、インテリア全体に最大220万のステッチと11マイルの糸を使用し、20時間の工程を経て完成する。ベースとなるツイルのテキスタイルは、ライラック・チョコレート・ブラックの3色展開で、スレッド(糸)は51色から選択可能。
シリーズ2は、デジタル・インターフェース「スピリット」を採用するため、ドライバー席正面のインスツルメント・クラスター・パネルと、フェイシア中央で常時表示される新型セントラル・インフォメーション・ディスプレイを再設計した。スペクターで初めて導入され、V12エンジンを搭載するロールス・ロイスの中では、シリーズ2が初搭載モデルとなる。スピリットと会員制アプリ「Whispers(ウィスパーズ)」を統合することで、アプリを通じ車両へ直接目的地の送信や、車両位置の遠隔確認、施錠管理が可能となる。
自動車全体と、とくに後部のコネクティビティも改善。リア・スクリーンには、最大2台のストリーミング・デバイスを接続でき、車両管理機能やマッサージ、ヒーター、クーラーなどのシート機能を送信するためのビスポーク・インターフェースを搭載する。
インターネット接続機能も搭載し、Wi-Fiホットスポット接続を利用することで、各スクリーンでの個別視聴が可能となった。カリナンでは初の、あらゆるタイプのBluetooth(ブルートゥース)ヘッドホンを後部座席のインフォテインメント・システムとペアリングできるほか、最新の18チャンネル1400ワット・アンプを搭載した、18スピーカー・ビスポーク・オーディオ・システムを利用できる。
日本での発表では、ビスポーク・モデルを展示。エクステリアは、シリーズ2のため新開発されたペイント「エンペラドール・トリュフ(Emperador Truffle)」で仕上げた。縞模様のブラウンの大理石からインスピレーションを受けたグレー・ブラウンのペイントは、ガラス粒子を練り込んだラッカーを使用。ビスポークの「クリスタル・オーバー(Crystal Over)」仕上げと組み合わせ、コーチラインをアークティック・ホワイトとした。インテリアには、カシミヤ・グレー、シャルトリューズ、シヴァロ・グレーのカラーを組み合わせている。
納車は第4四半期から順次開始予定。