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川崎重工、大型液化水素運搬船用貨物タンクの技術開発を完了

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川崎重工、大型液化水素運搬船用貨物タンクの技術開発を完了

川崎重工は、大型液化水素運搬船用の貨物タンク(CCS: Cargo Containment System)の技術開発を完了した。本件は、NEDO助成事業「水素社会構築技術開発事業・大規模水素エネルギー利用技術開発・液化水素の輸送貯蔵機器大型化および受入基地機器に関する開発」の取り組みとして、大型液化水素運搬船用CCSの性能確認用タンク(以下、試験用タンク)の設計・製作と性能確認試験を進めてきたもの。

水素の大量海上輸送には、マイナス253℃に冷却し、体積を気体の800分の1とした液化水素を長期間安定して保冷する必要がある。これを実現するため、川崎重工は内容積に対して外表面積が小さく、外部からの侵入熱を低減できる球形状で、かつ内外二層構造によって高い断熱性能を実現する独自の新構造CCS「CC61Hタイプ」を開発した。

CC61Hタイプの試験用タンクは、計画中の大型液化水素運搬船用CCS(タンク容量:40,000m3/基×4基、合計搭載容量160,000m3)の実物に近い規模。構造材や防熱材の厚さなどを実船に即した構成寸法とすることで、組立・溶接・断熱材の施工性など新構造の成立性を検証した。

開発の最終段階では、試験用タンクを用いたガス置換・冷却・昇温試験を実施した。タンク内の大空間が不活性ガスにより効率良く置換できることや、計画通りの断熱性能が得られることを確認している。

川崎重工は2030年までの液化水素サプライチェーン商用化実証計画に合わせ、大型液化水素運搬船の実用化を引き続き進める。

※NEDO:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (New Energy and Industrial Technology Development Organization)

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