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【働くクルマを解剖する①】「ミニバックホー」とは?

建設現場や道路工事で活躍するパワーショベル

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【働くクルマを解剖する①】「ミニバックホー」とは?
働くクルマシリーズの第1弾は、街中でもよく見かけるパワーショベルをさぐる。

MotorFan TECHNOLOGY TOPPERでは、クルマを中心に様々な技術を幅広く紹介している。このシリーズでは、「働くクルマ」を特集していく。各種の工事や農作業、物流などで活躍する車両を我々は毎日のように目にしているが、その構造や操作方法はあまり知られていない。初回は、道路工事などで使われる、いわゆるパワーショベルを取り上げる。

工事現場で活躍する「ミニバックホー」

建設機械のメーカーは、大きく3種類に分けられる。日本のコマツやアメリカのキャタピラーなど、大型のブルドーザーやダンプトラックまでを幅広く製造する企業は、総合建機メーカーと呼ばれる。コベルコ建機や日立建機のように、油圧ショベルがメインの会社は「ショベルメーカー」に分類される。ヤンマーやクボタは、小型の建設機械を専門に取り扱う。

写真はクボタの「U-17-3α」と呼ばれるコンパクトな機種で、「後方小旋回タイプ」に分類される。造園業や宅内の外構工事などで活躍する。

こうした建設機械の中でも、比較的よく見るのが「ミニバックホー(ミニショベル)」と呼ばれるカテゴリーの車両だろう。本体重量が6トン未満の掘削機で、スイング(回転や振れなどの動き)機構とドーザー(整地などに利用するブレード)を標準装備したものだ。道路工事や建設現場などで使われる、いわゆるパワーショベルの多くがミニバックホーだろう。

ミニバックホーは、クボタが世界シェアNo. 1を誇る。そこで、用途に応じた20種類近くのクボタのラインナップから、「超小旋回タイプ」の「RX-406E」に乗り込んだ。

「超小旋回タイプ」は、比較的大きな車体でありながら回転半径を極端に抑えたモデル。

アーム類を折り畳んで小さく旋回

画像提供:クボタ

ミニバックホーを構成するのは、運転席や操作レバーなどが装備された「上部旋回体」、前後の移動を担う「下部走行体」、爪の付いた切削用の「バケット」などが取り付けられる「フロントアタッチメント」の3つのパーツだ。

超小旋回タイプの場合、フロントアタッチメントをコンパクトに折り畳むことができる。前方・後方ともに出っ張りがないため、狭い場所での360度旋回が可能で作業性に優れている。

この状態でバケットに土砂などをいれたままで旋回できる。住宅地や都市部などスペースの限られた現場で活躍する。
写真右は「後方小旋回タイプ」のUシリーズ(写真はU-17-3α)。アタッチメントのバケット部分などが車体幅に収まらない。左側のRX406Eの方が車体は大きいが、旋回時の回転半径は小さい。

全ては油圧で動くミニバックホー

ミニバックホーを含め、建設機械では油圧がすべての動きを司っている。エンジンに直結した油圧ポンプが、前後の移動用油圧モーターや切削用アタッチメントを作動させる。乗用車に例えれば、モーターを回す電気をつくるためにエンジンを使う、シリーズハイブリッドのイメージに近いだろう。エンジンが、電気ではなく油圧を発生させて動力源として使用するのが建設機械というわけだ。

エンジンに直結したオイルポンプがすべての可動部を動かすのが建設機械の特徴。

RX-406Eの場合はタンクに約40リッターの作動油が蓄えられており、油圧コントロールパネルを経由して各アクチュエーターを作動させる。建設機械の場合は操作系からの指示も油圧を利用しているが、クボタでは電子制御に切り替えるための研究開発を行っている。将来的にバイワイヤー操作が可能になれば、リモートコントロールによって作業効率や安全性の向上が期待できそうだ。

オレンジ色の部分が油圧コントロールパネルの一部。金属製のジョイントで取り付けられている太いホースが、各アクチュエーターに繋がっている。右の写真の左側に通っている細めのラインは、運転席周りのレバーなどと繋がっている。オペレーターの操作を、油圧でコントロールパネルに伝える。

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