スパークプラグと同等の安心感を:後付式踏み間違い防止ペダル「アイアクセル」【東京オートサロン2024】
NGKスパークプラグのブースには、後付式踏み間違い防止ペダル「アイアクセル」が展示されていた。
「徐々に取り扱いしてくださる整備事業者様が増えています」
営業担当の最上 大輝氏は、編集部の取材にこう語る。営業所を全国に拡大して1年半。スパークプラグの名門メーカーであるNGKの安全への挑戦として、後付式踏み間違い防止ペダルの普及を進めている。
[北ホール9]
TEXT&PHOTO 久保田幹也
ほぼすべての自動車に後付けが可能な安全運転支援装置、もうすぐ免許は返すけど同じ車に乗り続けたい高齢者向け
NGKスパークプラグのブースには、おなじみのイリジウムプラグがショーケースに入れられて展示されていた。世界トップシェアを誇る自動車用スパークプラグの製造メーカーだが、東京オートサロン2024ではこれからの時代に求められる製品を大々的に展示していた。それが後付式踏み間違い防止ペダルの「アイアクセル」だ。
現在の新車には、ほぼ100%といっていいほど踏み間違い防止機能が装備されている。国土交通省は、こうした安全性の高い自動車を高齢者が購入しやすくするためのサポカー補助金も用意。国を挙げて対策を講じている一方、高齢者が新車に買い替えたがらないという側面もある。「乗り慣れた車を最後まで乗り続けたい」というニーズも少なからずあるだろう。
アイアクセルは、ほぼすべての自動車に後付けが可能な安全運転支援装置であり、免許返納まであと数年、あるいは乗り換えずに同じ車に乗り続けたいという高齢者の希望をかなえるような商品となっている。
取り付けには本体価格10~16万円と工賃が必要だが、自治体によっては補助金が使えるため、実際の負担は新車購入ほど重くない。対象車種にはアクアやプリウスといった普通車以外にも、サンバーのような軽トラまで可能。
現在取り付けに対応していない車種に関しても、4か月ほど待てば適合するものをキットで整備工場にお届けできるという。
機械式で取り付けも簡単、操作性に変化もなし
車検証への届け出が必要な構造変更申請なども不要で、簡単に取り付けできるのはアイアクセルの最大の特徴だ。踏み間違い防止装置となると、コンピューターへの接続や複雑な取り付け工事が必要と考える読者も少なくない。電子式でもケーブル式でも取り付け可能。内部構造は秘密ではあるものの、見た目の構造はいたって単純。既存のアクセルペダルにアイアクセルを取り付けているだけだ。
アイアクセルの作動条件は「強く踏み込むこと」。フルスロットルでアクセルを踏み込むと警告ブザーが鳴り、運転者に踏み間違えていることを伝達する。通常の踏み込みではブザーが鳴らない仕組みだ。
パニック時に思い切りアクセルを踏んでしまった場合は、車の加速解除とともにブレーキが作動。急ブレーキにはならないため、いわゆる2次被害を防ぐこともできる。筆者も実際に展示品で試してみたが、構造は単純でも機能性が高いことは十分にわかった。最上氏をはじめとするNGKの営業チームも「極力シンプルにしたのがアイアクセルの強み」と語る。
取扱整備事業者も拡大中
NGKは、アイアクセルの取扱事業者を拡大するため、約1年半前から全国に営業所を設置し始めたという。今回取材をさせていただいた最上氏も昨年10月からアイアクセルの営業を開始したとのことだが、東京オートサロン開催の1月の時点で1都道府県につき2件ほどの取扱整備工場が増えているという。
取扱整備工場に手を挙げると、NGKの営業担当者がアイアクセルの講習に赴くそうだ。基本構造や取り付け方法のレクチャーが主な目的だという。
「営業拡大を進めていますが、今月(1月)も4件ほど講習をやらせていただきます。」
需要は確実にあるようだ。ちなみに、アイアクセルの取扱整備工場になっても加盟料などは発生しない。あくまでもアイアクセルの正規取扱店として登録できるという感覚だそうだ。
これからますます高齢化が進む日本において、アイアクセルの需要は拡大していくのではないだろうか。高齢者が安全のために新車を購入するよりも現実的であり、家族が家族を守る選択肢としても選びやすい。
アイアクセルには「スパークプラグと同じように、安全性と信頼性の高さをお届けしたい」という想いが詰まっている。そしてそれは、徐々にではあるが日本全国に拡大しつつあるのである。