DIXCEL、妥協なき「ダイナモ試験」で実現する低ダストブレーキパッドの実力
エンジンオイルやワイパーゴムと比較すると、交換頻度が高くないブレーキパッド。DIXCELは、消費が少ない一般向けのものから、一気に消費するモータースポーツ用のものまで幅広く製造・販売している。その背景には、ほぼ毎日行われる「ダイナモ試験」が関係しているという。
[中ホール6]
TEXT&PHOTO 久保田幹也
街乗りもモータースポーツも、ダイナモ試験を重ねて技術開発
ブレーキパッドの早見表とともに、日ごろ行われている研究開発の結果を展示していた東京オートサロン2024のDIXCEL展示ブース。話を伺った技術開発部 木村 真生氏は、取材に対して「最近はほぼ毎日ダイナモ試験をしています」と語る。
ダイナモ試験とは、ブレーキの鳴きや摩擦、温度やブレーキそのものの強度を図る試験のこと。ブレーキの品質を測定する試験と思えば間違いないが、木村氏曰く、DIXCELではここ最近ダイナモ試験が延々と行われているという。
主な原因は街乗りに使用する一般向けのブレーキの試験だ。モータースポーツ用のそれと比較してゆっくりと無くなっていくことが多い街乗り用のブレーキパッド。当然、街乗りを想定すると試験に時間がかかり、結果的に連日の試験となってしまう。
事実、一般向けのブレーキで実施するダイナモ試験は丸1日かけて行うことも珍しくないらしい。命を守る部分なだけに、試験は念入りに行われているようだ。
ブレーキダストの少ないブレーキパッド「Mタイプ」
そんな日ごろの試験結果を公開していたDIXCELだが、Mタイプと呼ばれるブレーキパッドは、ブレーキダストが少ないことでおすすめなのだとか。ダストが少ないためホイールが汚れにくく、車をきれいにしておきたいユーザーには人気が高いと木村氏は教えてくれた。
また、寿命にも差があるという。DIXCELの展示ブースでは「BREAKE MAGAZINE」と呼ばれる小冊子が配布されていたが、それを参考に説明しよう。
一般的なブレーキパッドの場合、交換の目安次期として2~3年というものがある。乗り方などにもよるため一概に言えないが、ドイツ車の場合はおおむね正解だろう。一方のDIXCELのMタイプはブレーキダストが発生しにくい。言い換えればパッドの消耗がゆっくりであるため、およそ倍近い寿命を持っているというのだ。期間にして6年。十分すぎる寿命ではないだろうか。
DIXCELの強みは長寿命のブレーキパッドだけではない。日々研究を続けるブレーキローターの放熱性や溝の数までさまざまだ。木村氏は「毎日が試験ですが、技術開発には欠かせない」と語る。DIXCELのあくなきブレーキへの探求心が、一般・レースを問わず自動車産業を支え続けていることは言うまでもなさそうだ。