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かつて中国が行った十城千両プロジェクトとその歩み|NEVシフトへの布石

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かつて中国が行った十城千両プロジェクトとその歩み|NEVシフトへの布石

2012年、中国の最高指導者となった習近平国家主席は「中華民族の復興」の旗を揚げ「近代化強国」を提起した。2014年5月、NEVシフトが中国を自動車強国へ導くとし、NEV産業の発展に向けた取り組みを開始する。

この数年前、「十城千両プロジェクト」という計画が発足し、中国がNEVシフトを進めるにあたり重要な役割を果たしている。

中国NEVシフトのある種の転機とも言えるこのプロジェクトについて、概観していく。

ILLUSTRATION:Shutterstock

十城千両プロジェクトとは何か

当プロジェクトは2009年1月、中央政府4部署(科学技術部、財政部、国家発展改革委員会、工業情報化部)の連名で打ち出された。

この取り組みを大まかに要約するならば「2012年に中国の自動車市場に占めるNEVの割合を増加させることを目的とし、大中型都市の公共交通機関、タクシー、政府機関の公用車、郵政などの分野を対象として1都市当たり1,000台のNEVを3年間モデル運行させること」。

開始から1年後の2010年には対象都市を実に20都市まで増やし、NEVメーカーの集中する上海や深圳など5都市をモデル地区に指定した。個人向け補助金制度も開始するなど、中国がいかに積極的にZEVの普及を推進していたかが推察できる。

NEVを中核に据えた電動車戦略

十城千両プロジェクトの結果、中国の電動車戦略が大きく動いていく。

省エネルギー車の中心技術の一つであるHEV技術に関して中国系自動車メーカーと外資系自動車メーカーの技術を比較した際、中国系自動車メーカーは必ずしも優位性を持っているわけではなかったようだ。その一方で、NEVについては価格面も含めて外資系自動車メーカーとの差は決して大きなものではないとし、特にコア技術となるLIBに関してはHEV技術ほどのギャップがないと結論づけた。

中国政府はこのような結果を踏まえ、十城千両プロジェクト以降はNEVを電動車戦略の中核に位置付ける。

2011年に発表されたエコカー産業発展計画によれば、NEVの導入台数を2015年までに50万台、2020年までに500万台を目指す、といった非常に挑戦的な目標を設定している。この目標を達成するための打ち手とし、2013年には補助金政策と大都市圏での新車登録規制を導入。この両政策が功を奏し、2015年のNEV導入目標を達成した。

中国におけるNEV普及を加速させた補助金政策と新車登録規制

中国でのNEV市場の興隆において「補助金政策」と「新車登録規制」が果たした役割は、極めて大きいと言える。

まず補助金に関して。大型都市や中型都市では、中央政府だけでなく地方政府からも補助金が支給された。地域によっては合計で1台当たり最大約11万元(日本円で約200万円程)という多額の補助金が支給されたようだ。なお、この補助金は既に終了している。

次に新車登録規制に関して。

中国の大都市では環境対策や渋滞対策のためナンバープレートの取得が規制されており、制限の方法は都市ごとに異なる。

たとえば北京は抽選制度が採用されており、抽選で当たらない限りナンバープレートは取得できない。加えて当選率は1~2%という厳しさだそうだ。その一方、上海や深センでは競売制度が採用されており、好みのナンバープレートが欲しければお金をかけなくてはならないことを意味する。そのため、落札額はなんと5万元(約100万円)を超えることもあるようだ。

このような中国の大都市において、NEVを購入するとナンバープレートが無料で支給されるという制度は非常に魅力的だったのだろう。

これらの取り組みの結果、NEV普及は急速に普及していく。

中国汽車協会の発表データにおける2017年1〜11月の中国におけるEV販売台数(乗用車のみ)約38万台のうち、新車登録規制を実施している上海や北京などの 6大都市は実に全体の約7割を占めている。

以降も自動車産業の高度化を推進する中国

前述した動きからも見て取れるように、中国は自動車産業を重点産業分野の一つとして考えている。

中国汽車工業協会(CAAM)によれば、2017年の自動車販売台数は前年比3.0%増の2,887万9,000台、生産台数は同3.2%増の2,901万5,000台となっており、生産、販売ともに9年連続で世界一となっていたことからも、その本気度が伺える。

中国は自動車産業の発展をさらに推進するため、2017年4月に「自動車産業中長期発展規画」を公開。2020年および2025年までの自動車産業の重点目標や支援措置などを発表した。

この自動車産業中長期発展規格を推進することで、EV電池やモーターなどの基幹部品の国産化が促進されると期待されている。中国の国内消費市場、貴金属資源の保有、部品・部材産業集積などの面で、他国より優位に立てる可能性があるためだ。

目標の概要は主に下記のようなものが挙げられる。

コア技術の取得・躍進を目指した目標

2020年まで:世界トップ10のNEV企業、スマート車企業を育成する。

2025年まで:全世界に影響力があるNEVの基幹企業が市場シェアを一層拡大する。

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