パナソニックオートモーティブシステムズ(PAS)|IVIシステム開発に意欲。EV化を支える技術革新への事業競争力とは
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パナソニックホールディングス(HD)の傘下にあるパナソニックオートモーティブシステム(以下PAS)が2024年3月22日、IVI事業に関するプレスセミナーを開催。車載情報通信システム(IVI)の開発を支える3つの事業競争力として「価値創出、共創活動」「大規模ソフトウェア開発」「グローバル生産・供給体制」を掲げた。
TEXT:小松暁子
目次
PASのIVI事業はグローバルシェアトップクラス
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まず、PASのグローバルシェア率を見てみよう。ディスプレイオーディオは世界1位、IVIシステムは世界第2位とトップクラスのシェア率を誇る。PASのインフォテインメントシステムズ事業部ビジネスユニット長中村知樹氏は「パナソニックグループだからこその家電エレクトロニクスに関する技術や幅広い知見が強み。車の専業メーカーにはない特徴です。」と語った。「車」の枠にとらわれない豊かな発想が、カーメーカーからの信頼獲得の要因となっているのであろう。
PAS|IVI事業の変遷と今後の進化
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IVI事業の変遷として、初めての挑戦は2017年トヨタ自動車向け車載オーディオの開発だった。世界初の車両OS「AGL(Automotive Grade Linux)」は、Linux、Androidなどの汎用OSを活用。その後、ホンダ、マツダへも拡大していった。
「車載器が民生の機能を搭載していくトレンドのなかで汎用OSを採用。スマホやAVといったコンシューマ向けの開発ノウハウや知見、技術、人材を活かしながら製品化してきた」と中村氏は語る。
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また、クルマの進化は急速に進んでおり、この進化を支える技術トレンドはハードウェアからソフトウェアに移行しているという。「電子化や電動化(EV化)のさらなる進展によりソフトウェアを中心としたアーキテクチャへ転換され(SDV化:Software Defined Vehicle)、ECUの統合化が進んでいます。機能ごとに搭載されていたECUが、ドメインごとに統合され、やがては統合HPC化(HPC:High Perfomance Conputer)されるでしょう。」と中村氏。
これにより業界と産業構造、価値基準に変化が生じ、システムは大規模化するが、「PASの強みを活かしてIVI事業を拡大していきたい」と、中村氏は意欲に満ちている。
さらに、「価値創出、共創活動」「大規模ソフトウェア開発」「グローバル生産・供給体制」と開発における3つの競争力を掲げ、「カーメーカーとの戦略的パートナーシップによりIVI事業拡大を目指したい」と述べた。
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IVI事業3つの強み①価値創出、共創活動
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