堀場エステック、レーザーガス分析計「LG-100」を発売。独自の赤外ガス分析技術「IRLAM」を搭載し最先端の半導体製造プロセスを支える
HORIBAグループで半導体事業を担う堀場エステック(以下、堀場エステック)は、レーザーガス分析計「LG-100」を5月21日に発売することを発表した。様々なガスを使って基板上の回路を形成するためのエッチングプロセスでは、昨今の半導体デバイスにおける微細化・三次元構造化といった進化に伴い、プロセス中のガスをより精緻に制御・測定することが求められている。なかでも、最適なエンドポイントでプロセスを完了させることは、歩留まりを向上させるうえでますます重要になってきている。このようなエッチングにおける需要に応えるため、エッチングプロセス中に発生するガスの分圧をリアルタイムで測定できる「LG-100」が開発された。
目次
本製品では、半導体製造におけるエッチングプロセスから発生するSiF4(四フッ化ケイ素)の分圧※1変化をリアルタイムに測定することができる。この変化量から、エッチングが規定の深さ(エンドポイント※2)まで到達しているかどうかの判別が可能となる。アンダーエッチング※3およびオーバーエッチング※3のリスクを軽減し、半導体製造プロセスの生産性や歩留まり向上に貢献する。
また本製品には、2021年に開発したHORIBA独自の赤外ガス分析技術である「IRLAM(アーラム)TM※4」を搭載し、ppb※5レベルの微量なガスを高感度かつ高速(0.1秒)に測定することが実現された。最先端のロジック半導体量産化に向けて必要とされる、GAAトランジスタ構造※6や高アスペクト比※7のコンタクトホール※8形成といった高度技術におけるエンドポイント判別に寄与することも期待される。
製品特長
1.独自の赤外ガス分析技術「IRLAM」の搭載により、高感度かつ高速なリアルタイム測定を実現
・エッチングによって発生するSiF4の分圧変化をリアルタイムに測定します。このSiF4の変化量からエンドポイントの判別が可能となった。
・IRLAMの搭載により、発生する微量なガスをダイレクトに測定し、ppbレベルの微量なガスを0.1秒という高速で測定することが実現された。これにより、アンダーエッチング・オーバーエッチングのリスクを軽減し、先端領域における半導体製造プロセスの生産性や歩留まり向上に貢献する。
2.機能向上に向けた開発と最先端プロセスへの対応
・エッチングによって生成される排ガス成分の測定により、エッチングプロセス中の現象を確認できる。本製品は、進化を続ける半導体製造プロセスに貢献するため、測定ガス対象の多成分化や、応答速度の向上など、機能拡張にも継続して取り組んでいる。
・最先端のロジック半導体では、GAAトランジスタ構造や、高アスペクト比のコンタクトホールの形成におけるプロセス制御を実現するために、より高度なセンシング技術が必要とされている。本製品の投入を通じて、こうした最先端半導体製造プロセスにおける生産性の向上に貢献する。
※1 混合気体に含まれる気体ごとの圧力
※2 回路を形成する際、ウェハを削る深さの終点。エッチング工程では歩留まり向上のため、エンドポイントを最適な箇所に設定することが必要とされている
※3 所定のエッチング量よりも少なく、または多くエッチングすること
※4 赤外レーザ吸収変調法(Infrared Laser Absorption Modulation)。IRLAMは、堀場製作所の日本及びその他の国における登録商標または商標
※5 10億分の1を単位とする比率の概念。ガス成分の場合、1ppbは10億リットルのガス中に対象成分が1リットル存在することを意味する
※6 Gate All Aroundの略称。次世代のトランジスタ構造のひとつ
※7 ウェハ状に加工する際の深さと幅の比率(深さ÷幅)。アスペクト比が高いほど、先進的な加工技術が必要となる
※8 シリコン基板に配線を結ぶために設けられた穴のこと