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ホンダの型式指定申請における不正、「フィット」「N-BOX」など過去生産22車種

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ホンダの型式指定申請における不正、「フィット」「N-BOX」など過去生産22車種

本田技研工業は6月3日、国土交通省からの指示に基づく型式指定申請に関する調査について、過去に販売した四輪車について、型式指定申請時の認証試験に関する不適切な事案があったことを確認したと発表した。

1月26日の型式指定申請に関する国交省からの実態調査の指示を受けて実施した調査に基づくもの。同社は、過去に販売した四輪車について、型式指定申請に必要な騒音試験および原動機車載出力試験などで、試験条件の逸脱や、試験成績書に実測値と異なるデータを記載するなどの不適切な事案があったことを確認し、5月31日に国土交通省に報告した。

今回判明した不正の対象となるのは生産を終了した22車種。現行販売および今後販売を予定している四輪車の認証試験における不適切な事案は確認されていない。

社内で技術検証や実車試験などを行い、規定された法規基準を満たしていることが確認できているため、法規に関わる完成車性能への影響はないという。このため、当事案の対象車種のユーザーについては、使用を継続するにあたって、対応の必要はないとしている。

不正が判明した試験は、以下の通り。
・騒音試験
・原動機車載出力試験(ガソリン機関)、電動機最高出力及び定格出力試験
・原動機車載出力試験(ガソリン機関)

騒音試験における不適切事案については、2009年2月~2017年10月に実施した騒音試験において、試験条件の不備と虚偽記載の2つの事案があった。

対象車両は2007年12月~2010年7月に生産された「インスパイア(DBA-CP3)」や2009年11月~2019年9月に生産された「フィット(DBA-GE6、DBA-GE8、DBA-GK3、DBA-GK4、DBA-GK5、DBA-GK6、DAA-GP1、DAA-GP4、DAA-GP5、DAA-GP6)」、2011年12月~2013年1月に生産された「N-BOX/N-BOX カスタム(DBA-JF1、DBA-JF2)」など22車種。

騒音試験における不適切事案対象の22車種
騒音試験における不適切事案対象の22車種

試験実施後に設計変更などに伴い車両重量が変化すると再試験が発生する可能性があるが、車両重量を法規より厳しい条件に設定して試験を行うことで、騒音性能は保証できると解釈し、再試験の工数を増やさずにすむと考えたことが原因としている。

そのほか、2013年5月~2015年6月に実施した原動機車載出力試験、電動機最高出力および定格出力試験において、試験結果の出力値およびトルク値を書き換えて試験成績書に記載した虚偽記載があった。

当該事案の不正があったのは、2013年7月~2019年9月に生産された「フィット(DAA-GP5、DAA-GP6)」、2013年10月~2020年9月に生産された「オデッセイ(DBA-RC1、6BA-RC1)」など8車種。

原動機車載出力試験(ガソリン機関)、電動機最高出力および定格出力試験における不適切事案対象の8車種
原動機車載出力試験(ガソリン機関)、電動機最高出力および定格出力試験における不適切事案対象の8車種

この背景としては、試験結果が同一諸元の原動機や電動機を搭載する機種の諸元値に未達または過達の場合、追加の解析が発生する可能性があるが、諸元値に対する差がわずかだった場合には性能のばらつきの範囲内であると考え、既に認証を取得している機種の諸元値に書き換えることで、追加解析の発生を回避し、工数を増やさずにすむと考えてしまったとしている。

2013年4月~2015年1月に実施した原動機車載出力試験においては、法規では発電機を作動させた状態で試験を行うべきところ、作動させずに実施し、別の同一原動機試験で得られた補正値を用いて数値を算出し、これを発電機を作動させた状態と同等の試験結果とみなしたという試験条件の不備の事案があった。

当該事案の不正があったのは、2013年7月~2020年9月に生産された「フィット(DBA-GK3、DBA-GK4)」など4車種。

原動機車載出力試験(ガソリン機関)における不適切事案対象の4車種
原動機車載出力試験(ガソリン機関)における不適切事案対象の4車種

同事案については、発電機を作動させた状態での測定が試験条件であることが、試験マニュアルに規定されておらず、補正値を用いて算出した数値が、定められた条件での試験結果と同等であるとみなし、工数を増やさずにすむと考えてしまったことを理由として挙げている。

同社は、今回の事象を重く受け止め、コンプライアンスおよびガバナンス強化の観点をふまえた再発防止に全社をあげて取り組むとし、改めて法令順守を徹底する考えを経営のトップメッセージとして社内に発信し、全ての従業員に対して遵法マインドの育成強化を図る。あわせて、人によって異なる解釈や判断が発生しないよう、適切な業務プロセスを構築・標準化するとともに、内部監査機能のさらなる強化を図るなど、再発防止策を講じていく。

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