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ヤマハ発動機の型式指定申請における不正、「YZF-R1」など二輪車3車種

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ヤマハ発動機の型式指定申請における不正、「YZF-R1」など二輪車3車種

ヤマハ発動機は6月3日、国土交通省からの指示に基づく型式指定申請に関する調査について、2つの試験項目において不正があったと発表した。

1月26日に国交省から要請を受けた「型式指定申請における不正行為の有無等に係る実態調査」(国自審第2018号)に基づき、同社は、2024年2月から5月にかけて、過去10年間に認証試験を実施した者およびその申請書類を作成した者を対象に調査を行うとともに、申請書類と認証試験に関する社内報告書の突合調査を実施した。

今回判明した不正の対象となるのは、生産中の1車種(YZF-R1)における騒音試験の誤りと、生産終了した2車種(YZF-R3、TMAX)における申請書類の不備。

2020年8月20日に発売した「YZF-R1」
2020年8月20日に発売した「YZF-R1」

YZF-R1は2020年8月より販売を開始し、累計販売台数は1,434台。騒音試験において、グラスウール製吸音材を使用した消音器(マフラー)を通常路上で使用する状態にするコンディショニング(試験準備調整)を行うところ、熱によって試験器具が溶損する事態が生じたことにより、規定とは異なるエンジン出力にて、コンディショニングを行なっていた。

不正が起こった原因として、認証試験担当者が、グラスウール製吸音材の耐久劣化状態に影響を与えず、排気圧力・持続時間・試験サイクル数等の試験条件を満たす範囲であれば、試験機器の溶損を避けるためにエンジン出力を変更することは法令上も問題ないと、法令に対する誤った理解をしていたことだという。

当該試験をやり直した結果、いずれも基準に適合していることを確認したものの、現在は出荷を停止。過去に出荷済みの車両に関しても、使用時に支障が生じる事案は確認できていないとしている。

2015年4月20日に発売した「YZF-R3 ABS」
2015年4月20日に発売した「YZF-R3 ABS」

YZF-R3とTMAXは以下の4型式が対象。

YZF-R3:
・2015年4月20日〜2017年7月に生産していたEBL-RH07J(累計販売台数3,397台)
・2018年1月20日〜9月に生産していた2BL-RH13J(累計販売台数680台)

TMAX:
・2017年4月7日〜2019年9月に生産していた2BL-SJ15J(累計販売台数1,114台)
・2020年5月8日〜2021年10月に生産していた8BL-SJ19J(累計販売台数849台)

警音器の音圧試験において、型式申請時に引当て表を提出せず、かつ試験を行った車両の車台番号ではなく、申請する車両の車台番号を記載し申請していた。不正が起こった原因として、認証申請にかかわる法令やルールについて十分に理解しないまま、誤った申請を行なっていたことだという。

同社は、試験規程において認証業務と開発業務を明確に区別し、社内の法令解釈に対する理解を明確にした上で規定化・周知するなど、再発防止策を講じていく。

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