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デンソー本社でBEVを活用した エネルギーマネジメントシステムの実証を開始。クルマ移動とオフィスをカーボンニュートラル化

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デンソー本社でBEVを活用した エネルギーマネジメントシステムの実証を開始。クルマ移動とオフィスをカーボンニュートラル化

株式会社デンソーは、愛知県の本社内にBEVを活用したエネルギーマネジメントシステムを導入し、クルマ移動とオフィスをカーボンニュートラルにする実証を2024年6月より開始した。

実証の概要

本実証では、クルマとさまざまなモノとの間で情報やエネルギーを連携させたV2X(Vehicle to X)※1 システムが導入され、太陽光発電装置(オンサイトならびにオフサイト)と社有車のBEV※2 および定置用蓄電池の間で電力を最適に活用することで、社有車のBEVとデンソー本社の本館(6階建てのオフィス)のカーボンニュートラルが目指される。

今回導入されるV2Xシステムは、デンソーが自動車部品開発で培った制御技術の知見や品質管理のノウハウを生かし、独自に開発されたものである。本社内に設置した太陽光発電パネル、普通充電器、V2H-充放電器、社有車のBEV約20台および電気自動車用蓄電池を複数台連結させた定置用蓄電池システム(トヨタ自動車製)のほか、オフサイトの太陽光発電装置で構成されている。太陽光で発電した電力をデンソー本社内の本館に供給し、昼間に余剰電力が発生する場合は社有車のBEVおよび定置用蓄電池に貯め、夜間に本館へ放電を行い、再生可能エネルギーの自家消費率が高められる。

実証の概要

実証のポイント

本システムでは多数台のBEVを社有車として導入し、実証を通じて、社有車BEVの利便性とシステムの導入効果の両立を検証し、将来的にはシステムの製品化を目指して開発が進められる。本実証は、以下の2点が特長となっている。

1. 本館とBEV間の効率的な電力の融通

本実証では、太陽光発電による発電量と本館の電力需要の予測が行われ、余剰が発生する場合はBEVの充電に活用し、不足する場合は放電を行う。電力の需給変動と社有車予約システムを連携させることで、利用予約が入っていないBEVからは本館に電力を供給する一方で、予約が入ったBEVは充電し、本館とBEVの間で効率的に電力が融通される仕組みになっている。

2. BEV充電量の最適管理

従来のBEVの充電方法では、充電を開始すると満充電になるまで充電するのが一般的で、満充電の状態が続くとリチウムイオン電池が劣化し、航続距離が減少する可能性があった。BEVを蓄電池として活用する本実証において、BEVの電池性能はシステム全体の効率性の鍵を握るため、今回、充放電を最適に制御し、適切な充電量でBEVを管理することで電池の劣化を抑制する技術が開発された。実証を通じてV2Xシステムでの利用による電池劣化が検証される。

デンソーの5号館受付前にて、リアルタイムで電力の自家消費率や需給予測などの実証の様子が見られるサイネージが設置されている。。

※1 V2X (Vehicle to X):自動車とあらゆるモノをつなげる技術のこと。「X」は家、オフィス、工場、系統電力などさまざまな利用先を指す。
※2 BEV(Battery Electric Vehicle):ガソリンを使わず電気のみを使って走る電気自動車のこと。

著者
Motor Fan illustrated

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