ジェイテクト、研削盤の砥石軸用技術「低動力静圧軸受」が全国発明表彰「発明賞」受賞
全国発明表彰は、日本の科学技術向上と産業の発展に寄与することを目的に、発明協会が開催するもの。大正8年から続き、「多大な功績を挙げた発明、考案、又は意匠、あるいは、その優秀性から今後大きな功績を挙げることが期待される発明等」に授与している。
今回、ジェイテクトが受賞した技術は、回転する砥石で加工物を研削する「研削盤」と呼ばれる工作機械に関するもの。研削盤の砥石軸を支える軸受（ベアリング）は、砥石が安定して回転するために必要不可欠な部品で、同技術では、圧力をかけた潤滑油の力で砥石軸を支持する「静圧軸受」の性能向上に寄与する。
砥石軸が回転する際に軸受内で発生する潤滑油の順流と逆流を分離し、潤滑油の乱流を抑制することで、従来の静圧軸受に比べ高速回転時の動力損失（潤滑油の流れの影響で失われるエネルギー）を約20％減らすことができる。これにより、消費電力と二酸化炭素（CO2）排出量の削減に貢献している。同技術を研削盤に搭載することで、省エネに加えて熱による部品の伸びや傾きなどの変位量を抑制し、冷却装置の小型化による機械フロアスペース削減にもつながるという。
静圧軸受には元来、「転がり軸受」など他の方式に比べて回転精度や振動減衰性に優れ、金属接触部が無いため長寿命という特長がある。それらの特長を損なうことなく省エネ化を実現したことも、大きなアピールポイントとなった。
同技術は、令和4年度中部地方発明表彰で文部科学大臣賞を受賞しており、同技術を搭載した研削盤は、日本機械工業連合会主催の令和2年度優秀省エネ機器・システム表彰において経済産業大臣賞を受賞している。
