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自由にカスタマイズできる「アネブルダンパー」で学生たちが車体構造を学ぶ機会を提供。シムの厚みが車両の挙動に与える影響を"肌"で感じられる - アネブル|学生フォーミュラ 2024

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自由にカスタマイズできる「アネブルダンパー」で学生たちが車体構造を学ぶ機会を提供。シムの厚みが車両の挙動に与える影響を"肌"で感じられる - アネブル|学生フォーミュラ 2024
自ら組み立て、調整できるのが「アネブルダンパー」

自動車業界の未来を担う次世代のエンジニアを育成する場として、学生フォーミュラの存在感が増している。学生フォーミュラは、学生たちが自ら車両を設計・製作し、競技に参加することで、実践的なエンジニアリングスキルを学ぶ大会である。

本大会は、車両のデザインから組み立て、テスト走行までを一貫して行う。これは、理論的な学びにとどまらず、実際の車両開発における課題解決能力や、トライアンドエラーを繰り返すことでの“技術者”としての能力を高めていく。

アネブルは、こうした学生フォーミュラチームに対して2018年から技術サポートを行っている。自動車部品の供給やメンテナンス指導、さらには安全性能や車検のアドバイスを通じて、学生たちの技術向上をバックアップしているのだ。今回は、アネブル採用部新卒採用G顧問 三宅博氏、AP部 甲斐久南太氏に詳しい話を伺った。

TEXT:庭野 ほたる(Hotaru Niwano)
PHOTO:村上 弥生(Murakami Yayoi)
主催:公益社団法人自動車技術会

技術的課題を丁寧に指摘することで車両の安全性能が向上

学生フォーミュラにおいて多くのチームで採用されているショックアブソーバー

アネブルの学生フォーミュラへのサポートは多岐にわたる。同社は、自動車部品の供給やメンテナンス指導に加え、車両の安全性能や車検に対するアドバイスを行っている。

三宅氏は過去に自動車技術会の車検リーダーとして長年の経験を積んでおり、現在は車検ワーキングメンバーとして学生チームをサポートしている。車検は、競技に参加するために不可欠なプロセスであり、設計がルールに適合しているか、車両の安全性が確保されているかを厳しくチェックする​。

三宅氏は「車検は点数にはならないが、これをクリアしなければ土俵にも上がれないんです」と語る。アネブルは、車検をパスするためのルールや注意点についても、学生チームに細かくアドバイスを行っているという。

アネブルは2018年から学生フォーミュラに技術サポートを行っている

特に、経験の浅いチームや初参戦のチームにとって、車検は大きなハードルである。実際に、車検をクリアできずに競技に参加できないチームも存在するが、アネブルはこうしたチームに対しても積極的に支援を行っている。

「過去には、大阪公立大学のチームは車検をクリアできず、競技に参加することができませんでした。しかし、我々のアドバイスをもとに改善を重ね、指摘点数を大幅に減らすことができました。こうしたチームの成長には毎回感銘を受けます」(三宅氏)

車検に通過できない原因は様々だが、多くの場合は設計ミスや安全面での不備だ。材料の選定や車体構造の問題、さらにはルールに対する理解不足が挙げられる。アネブルは、各チームの状況を詳しく分析し、技術的課題を丁寧に指摘することで、改善への道をサポートしている。

また、同社が提供するデファレンシャル(デフ)やダンパーといった主要部品は、多くのチームで採用されている。特に、デフに関しては「トップチームのほとんどがアネブルのデフを使っている」と三宅氏は誇る。アネブルは、部品提供においても重要な役割を果たしているのだ。

自ら組み立てる「アネブルダンパー」で、学生たちにダンパーの内部構造を学ぶ機会を提供

学生フォーミュラ用マルチウェイダンパー「アネブルダンパー」

アネブルは本大会にて、学生フォーミュラ向けに「アネブルダンパー」を展示した。このダンパーは、学生たちが自ら組み立て、調整できるように設計されている。展示されたのは3Dプリンターによるモックアップであるが、アネブルでは部品の内製化を進めており、来年の学生フォーミュラで披露することを目指している。

アネブルがアネブルダンパーの開発に至った背景には、ドイツの大手部品メーカーであるZFザックス社による「部品供給停止」がある。従来、同社製のダンパーが学生フォーミュラ向けに使用されていたが、この供給停止を受け、アネブルは独自に内製化を進める決断を下した。

著者
庭野ほたる

愛知在住のライター。サービス業、営業職を経て、なぜか自動車・航空機の開発設計に携わることに。これまでに自動車の内装製品や、航空機の構造部品の設計を15年以上手がける。樹脂設計には10年以上関わっており、「ヒケ」という言葉を聞くと心拍数がちょっとだけ上がる。今はさまざまな生成AI(文章、画像、動画、音楽)にハマリ中。

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