いすゞ、ステーションとEV車両を新たに開発しバッテリー交換式ソリューション「EVision Cycle Concept」の社内実証実験を開始
いすゞ自動車は、今月より、藤沢工場(神奈川県藤沢市)にて、バッテリー交換式ソリューション「EVision Cycle Concept」の社内実証実験を開始した。新開発したバッテリー交換式ステーションおよび、これに対応したバッテリー交換式EV車両を用いた本実証実験を通じ、社会実装に向けた検証が加速される。
EVision Cycle Conceptは、カーボンニュートラル(CN)の新たな選択肢として、いすゞが提案するバッテリー交換式ソリューションである。昨年の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー)」で世界初公開して以来、事業化に向けた準備が進められてきた。
バッテリーEV(BEV)の普及にあたっては、充電時間の短縮や車両価格の低減、バッテリーの再利用といった課題を乗り越える必要がある。EVision Cycle Conceptでは、車両からバッテリーを分離して交換方式にすることで、車両価格の抑制と施設側の充電時間の集中を回避することができる。いすゞは、これらの課題を解決するソリューション、すなわちEVision Cycle Conceptとして、バッテリー交換をスムーズに行うステーションと、これに対応するバッテリー交換式EV車両の2つを提案している。
藤沢工場内に設置したバッテリー交換ステーション(プロト機)は、昨年のジャパンモビリティショーで公開した車両片側のバッテリー交換装置を改良し、車両両側からの交換が可能となった。さらに、バッテリー2パック車だけでなく、4パック車にも新たに対応。車両の左右に装着されたバッテリーパックを両サイドから同時に交換できるほか、車両との通信機能により交換ステーションに車両が入庫すると自動でバッテリーパックを交換することができる。社内実証実験では2パック車と4パック車を用いてバッテリーパックの交換オペレーションを検証し、所要時間のさらなる短縮など、社会実装に向けてさらなる改良が重ねられる。
今後のビジネス展開に向けては、2025年度までに、国内のさまざまなパートナーと協働し、実証実験を開始する予定であることに加え、8月に経済産業省が公募した令和5年度補正予算「グローバルサウス未来志向型共創等事業(大型実証 ASEAN加盟国)」に採択され、2025年度より、タイ王国においてバッテリー交換式ソリューションの導入および電力インフラとの連携によるセクターカップリングの実証事業が進められている。