ホンダ、EVを活用したスマート充電サービスの実証を4社共同で開始。電力市場価格やユーザーのEV利用状況に応じたサービス提供の事業性を検証

実証の背景

カーボンニュートラルの実現に向けては、EVの普及促進とともに、再生可能エネルギーのさらなる利活用が不可欠である。一方、再生可能エネルギー由来の電力の発電可能時間帯と実際の電力需要の間には需給ギャップが存在するため、再生可能エネルギーの活用が十分に進んでいないという課題がある。また将来的にEVの普及が進むと、夜間の自宅でのEV充電の時間帯など、特定の時間帯に電力需要が集中することで電力系統への負荷が高まることが懸念されている。

こうしたことから4社は、今後のEVの普及・拡大を見据えて、電力の需給ギャップの解消や再生可能エネルギー活用の促進、また電力系統の安定化に向けた新たなエネルギーサービスの検討が推進されてきた。

実証の概要

本実証では、ホンダのEVとKaluza Japanの先進の充電制御技術を連携、さらにMCリテールエナジーとKaluza Japanのシステム連携を通じて、電力市場価格やユーザーのEV利用状況に応じ、最も電力調達コストが低減されるタイミングで効率的にEVを充電する「スマート充電」サービスの顧客受容性、事業性の検証が行われる。

スマート充電では、電力系統における需給が逼迫する時間帯を避ける一方、太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電余剰が発生し、電力価格が下がる時間帯を自動的に選択して充電が行われる。これにより、電力系統への負荷低減、需給ギャップの縮小に加え、再生可能エネルギーの活用促進への貢献が目指される。また、EVユーザーは自身で充電のタイミングを調整する手間がなくなるほか、EV利用に際してのTCO（Total Cost of Ownership：総保有コスト）が低減し、より快適かつ安価にEVを利用することが可能となる。

これに加え、EVの利用データを統計的に分析・反映することで、よりユーザーのEV利用動向に沿った充電サービス・電力プランの具現化に取り組んでいく。本実証を通して得られた知見を生かし、顧客がよりストレスなくEVを利用できる環境づくりはもちろん、カーボンニュートラル社会に向けた課題解決につながる、新たなスマート充電サービスの構築・提供が目指されていく。

実証の対象者

実証の対象者：Hondaが製造・販売するEVを保有し、MCリテールエナジーの提供する実証用電力プランに加入する一般の顧客（北海道・北陸・九州・沖縄地区を除く）。

スマート充電サービスの仕組み

①実証に参加するEVユーザーは、充電を完了したい時刻をスマートフォンのアプリを通じて入力する。
②電力系統における需給状況を反映して日々決定される電力市場価格情報と、ユーザーのEV利用情報をあわせて、充電に最適な時間帯をシステムが判断し、スマート充電計画を作成。
③スマート充電計画が車両に連携される。
④計画に沿った充電指示が行われる。
⑤EVユーザーは、実際の充電状況をアプリを通じて確認できる。

各社の役割