開く
TECHNOLOGY

ハイブリッド用のエンジン|エミッションとパフォーマンスを両立した直噴機「HONDA LFC型 e:HEV用エンジン」

公開日:
更新日:
ハイブリッド用のエンジン|エミッションとパフォーマンスを両立した直噴機「HONDA LFC型 e:HEV用エンジン」
LFC type new engine

ホンダが「シビック e:HEV」に搭載して登場させた新エンジン「LFC」型は、各国の厳しい燃費規制にも十分に対応できる性能を誇りながら、パフォーマンスも諦めていないのが特長。今後、同社の中核機として多くの車種に用いられていくであろうLFC型エンジンの詳細をご紹介しよう。

TEXT:世良耕太(Kota SERA) FIGURE:HONDA

ホンダは2.0ℓ直列4気筒自然吸気エンジンを新開発し、2022年7月1日に発売したシビックe:HEVに搭載した。このクルマを手始めに、シビックが属するCセグメントだけでなく、もっと大きく重たいDセグメントの機種もカバーする考えだ。

2030年まで使い続けられる息の長いエンジンにするのが「LFC」のエンジン型式を持つ新エンジンのコンセプトだ。ロングライフにするには、厳しくなる排ガス規制に対応しなければならない。北米のSULEV20やヨーロッパのEuro 7に中国の国7、そしてRDEだ。つまり、グローバルに拡販していくエンジンということ。排ガス規制に対応させつつ、熱効率(燃費)と出力を向上させ、コストを両立させるのが、LFCに課された開発テーマだった。

LFCの前型にあたるLFA/LFBも排気量2.0ℓの直4NAエンジンだったが、LFCも2.0ℓ直4NAであることに変わりはない。大きな違いは燃料噴射システムで、ポート噴射だったLFA/LFBに対し、LFCは直噴とした。最大燃料噴射圧は35MPa(350bar)だ。混合気を均質化する観点でいえば、直噴よりもポート噴射のほうが有利だ。直噴は冷却効果によってノック限界を引き上げる効果は得られるけれども、均質な混合気を作る点で分が悪い。

これについては、高燃圧かつ多段噴射、高流動の吸気ポート、流動を保持するピストン冠面形状などで最適化し、必要最小限の燃料をきれいに、かつ急速に燃やすようにした。ひと粒の燃料を残らず燃やしきるため、低回転高負荷の、燃料を多く噴く領域では、最大4段まで分割して噴く技術を成立させている(高回転高負荷時は流動が強くなっているので、1回で噴いてもきれいな混合気が形成できる)。

エンジンコンセプト
今後、一気に厳しくなる排ガス規制を先取りして環境対応しつつ、熱効率と出力、そしてコストを満足させるのが、C/DセグメントのHEV、PHEVをカバーする新エンジンのコンセプト。ポート噴射だった前型に対し、新開発版は直噴としたのが大きな変化点。燃費率の良好な領域を広げた。とくに高トルク側に拡げたのが、制御自由度の面で大きい。

ハイブリッド用エンジンの技術

PICK UP