トラックの完全EV化が実現する未来は来るのか
環境意識の高まりに伴い、日本国内でも徐々に自動車のEVシフトが始まっている。欧州などと比較するとまだまだEVの普及は進んでいないが、それと同時に課題となっているのがトラックのEV化である。要するにトラック版EVシフトだ。
日本国内で排出される二酸化炭素のうち、約1/10がトラックから発生しているとする研究結果も出ている。しかし、率直に言って、トラックのEV化はそれほど進んでいない。その背景には、トラック自体が抱える問題と、EVの技術的な課題が深く関係しているのである。
高まる環境意識、増えないEVトラック
日本はEV後進国と揶揄されるほど、EVシフトが進んでいない。背景には、既存の自動車メーカーがEVシフトに後ろ向きである点が挙げられるだろう。ホンダが示した研究結果では、現在の発電方法やバッテリーの開発・処理にかかる環境負担が、現在の二酸化炭素排出量よりも高くなる可能性があるという。この結果を受けて、海外でのEVシフトがやや鈍化したのは事実だが、それでも世界的な取り組みはガソリンから電気への転換が推進されている。やはり日本国内でも自動車のEVシフトは免れないだろう。
地球温暖化などの環境問題が顕在化している昨今、日本だけではなく世界全体で温室効果ガスの削減が喫緊の課題となっている。各国の自動車メーカーもEV開発に力を入れており、政府による脱ガソリンエンジン車宣言を受けて活気づいているところもあるようだ。実際、2030年の世界におけるトラック型BEV(以降EVトラック)市場規模は106万7985ユニットになるとの結果も出ており、2022年の10倍にも拡大すると言われている。特に中国・韓国などのEVプラットフォーム製造国は、その経済規模を拡大している状況。自家用車を含めた電気自動車が世界のスタンダードになる可能性は非常に高いと言えるであろう。