サスペンションをめぐる、12の素朴な疑問
Ask for engineer
Q3:サスペンションアームの長さはどのように決めるのでしょうか? できるだけ長くした方が良さそうに思えるのですが。
サスペンションまわりには、緩衝のためにストロークさせながら一定の軌道に留めるべく、ピボットを中心に揺動(スイング)するアームやリンクの組み合わせでホイールを支えている。このためホイール位置を車体と平行の平面上(≒路面)に投影すると、アーム揺動角の変化に伴って、その位置が動くことになる。アームを用いるサスペンションの宿命だ。そういった意味で、同じストローク量でも揺動角が小さくて済む長いアームの方が、幾何学的には理想に近いのは事実だ。
しかし、現実的にはレイアウト的に限界があるということは言うまでもない。そこで円弧を描くアームの軌跡を利用したリヤサスのリセッション角確保など、むしろ現実的なアーム長が描く軌跡をうまく利用という手法が採られる。コントロールアーム(リンク)などでは短めに設定することで、あえて揺動角を大きくしているものも見られる。。
■Answer
アーム揺動によるジオメトリー変化の非線形性の抑制やブッシュの角度変化の抑制の観点からアームは長い方が有利。ただし、“長い=重い”ということなので、ばね下質量軽減の観点からは不利な面もある。