開く
FEATURES

サスペンションをめぐる、12の素朴な疑問

Ask for engineer

公開日:
更新日:

Q2:フロントサスペンションのロワーアームのピボットには、前後ブッシュの配置に縦置き/横置きの2種類が見られます。ブッシュの軸とピボットの軸が一致する横置きは直感的に理解できるのですが、縦置きには少々無理があるように見えます。それぞれはどのように使い分けられているのでしょうか?

ゴムの柔軟性を利用するブッシュは、可動方向に取り付け軸の向きに依存しない自由度を持っている。取り付け軸が上下方向に向いている縦置き配置のロワーアームブッシュは一見不自然に見えるかもしれないが、ブッシュは中心の取り付け軸をこじる方向でも無理なく動くので、まったく問題はない。

大きく異なるのはブッシュにかかる力の方向によって異なるスプリングとしての効果。一般に軸方向はソフトに、軸と直角方向はハードに働くこととなる。

■Answer

ブッシュは円筒形のため、相対的に軸方向が低目で軸直角方向が高目のばね定数となる。したがって、縦置きは車両上下方向のばね定数が低目、車両左右方向の場目定数が高目となる。横置きはその逆。

また、ホイールストロークに伴うブッシュの角度変化は、縦置きはこじり方向、横置きは捩じり方向となる。各方向の必要なばね定数が確保できればブッシュの配置方向はどちらでも構わないが、上述のとおりばね特性や挙動に方向性があるため完全に同じ特性にはならない(ブッシュの一部にスグリを設けある程度の調整は可能)。一般的には、上下ばね定数が高くできない縦置きは、ロワーアーム質量が大きく、かつ、ブッシュへの入力が大きい場合は上下振動の吸収が難しい。

一方、ブッシュのロワーアームへのアッセンブリーにおいては、縦置きは板金プレスのバーリング成形部に圧入が可能(相対的に安価)だが、横置きは溶接された別部材への圧入が必要(相対的に高価)となる。また、ロワーアームアッセンブリーのサスペンションメンバーへの取付においても、ブッシュ軸が縦置きは上下縫い、横置きは前後縫いとなり、取付構造もその制約を受ける。上述のような背景から、小型車では縦置き、大型車では横置きの採用例が多い。

サスペンション、なにするものぞ

有料
限定
FEATURES
「曲がる」原理と「曲げる」技術
TOPPER編集部
有料
限定
FEATURES
良いばね、悪いばね。
TOPPER編集部
有料
限定
FEATURES
後輪も操舵するとどうなるのか
TOPPER編集部

PICK UP