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軽量化の特効薬、樹脂化に立ちはだかる数々の難問

八千代工業の樹脂製バックドア

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 最大の問題はコストである。部位によってかなり自由に板厚を変えられる樹脂製だけに材料のコストは抑えられるのだが、サイクルタイムは既存の製法に比べて相当大きい。例えば、バックドアのインナーパネルを鋼板プレスで生産すれば1分間に最大15個程度作れるものが、樹脂製では1枚というから大問題であることは素人にもわかる。

 アッセンブリーするとなると、部品間の接合に接着剤を使うことがさらなる課題となる。鉄であれば溶接にしろファスナーにしろ接合すればそれで終わり。すぐ次の工程に移せるが、接着剤では硬化させるために15分程度の時間を充てなくてはならない(完全硬化には24時間以上かかる)。接着剤を一液性から二液性に代えて硬化時間を短くしたが、それでも瞬時というわけにはいかず液の混合の手間もかかる。

 接着剤の使用には別の影響もある。樹脂はどうしても熱で収縮するのだが、加熱で伸びた樹脂が縮む際に接着した部分の変形量が一定にならず、正確に元の形状に戻りにくいのだ。接着剤を均一な面積・厚みに塗布するのが難しい上に、接着剤自体がゲル状の物性なのでどうしようもない部分らしい。

一体成形されたバックドアのインナーパネル。ガラス繊維入りのポリプロピレン(PP)を射出成形したもの。単体で充分な剛性を持つが、強い応力がかかるヒンジ部、ダンパー取付部、ラッチ取付部には金属板の補強が入る。アウターパネルや細かなパーツはウレタン系接着剤で接合されるが、その接着剤と製品樹脂との物性の差が熱収縮と製造サイクルに影響を及ぼす。

著者
Motor Fan illustrated

「テクノロジーがわかると、クルマはもっと面白い」
自動車の技術を写真や図版で紹介する、世界でも稀有でユニークな誌面を展開しています。
http://motorfan-i.com/

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