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東海大学・木村教授に訊く|日本のHEV技術を読み解くカギ

東海大学・木村教授に訊く

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東海大学・木村教授に訊く|日本のHEV技術を読み解くカギ

かつては“ガラパゴス”と揶揄されながらも、惑わされることなく堅実に“正論”を追い求めていった日本のHEV技術。バッテリーとパワーエレクトロニクスが重要であることについてはEVと同様だが、そこにはHEVならではの要素と特徴も少なくない。

TEXT:髙橋一平(Ippey TAKAHASHI)
PHOTO:山上博也(Hiroya YAMAGAMI)/TOYOTA/NISSAN/HONDA

Q1:なぜHEVではニッケル水素電池が

A1:加速に必要とされるパワーや、減速時の回生で生み出されるパワーは、HEVでもEVでもほぼ同じです。EVと比べるとバッテリー(ユニット)が小さな(セル数が限られる)HEVでは、短時間で充放電する性能、つまりパワー密度が重視されます。

ニッケル水素電池に用いられるアルカリ性水溶液(水酸化カリウム)の“水系(すいけい)”電解液のほうが、リチウムイオン電池に用いられる有機溶媒系のそれよりもイオン伝導性に優れる特徴があり、パワー密度という点で有利です。

それともうひとつ、水系の電解液は溶媒となる水の電気分解が起きやすいものの、酸化触媒を使って電気分解により発生した水素と酸素をふたたび水に戻すことが可能なので(充放電性能の)“限界付近”を使いやすいという特徴があります。

つまり“ふんばりが効く”ということで、セル数が限られることから個々のセルの負担が大きいHEV用途に向いているといえます。

もちろんコスト的なメリットも大きいでのすが、性能や特性において、ニッケル水素電池はHEVにとっていまもなお魅力的な選択なのです。

エネルギー密度で優れるリチウムイオン電池に対し、ニッケル水素はパワー密度で有利。制御技術の進歩からHEVにもリチウムイオン電池が搭載されるようになったが、ニッケル水素電池も第一線で活躍を続けている。

 

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