トヨタがクラウンに燃料電池を載せた“意外な”理由。トヨタ水素製品開発部主任に訊く「新型クラウンセダン FCEV」と水素のミライ|人とくるまのテクノロジー展 2024 NAGOYA
燃料電池の先駆けとして登場したトヨタ自動車のMIRAI。2020年に登場した第2世代プラットフォームを改良し、このたびクラウンに搭載したモデル「クラウンセダン FCEV」が展示されていた。「ハイブリッドモデルのほうが売れている」としつつ、なぜトヨタの顔であるクラウンへの燃料電池搭載を決めたのか。トヨタ自動車 水素製品開発部主任の井上 大輔氏に話を聞いた。
TEXT:久保田 幹也(Mikiya Kubota)
PHOTO:村上 弥生(Yayoi Murakami)
主催:公益社団法人自動車技術会
システム効率向上で約820kmの航続距離を実現
第2世代MIRAIのプラットフォームを採用したクラウン。トヨタ自動車などの大手自動車メーカーが一緒になって推進する「マルチパスウェイ」、つまり数ある動力源の選択肢のひとつとして登場した。
「水素の補充にかかる時間は、1回3分で従来と大きな違いはありません。これはどのメーカーさんでも変わらないと思います。大きな違いは航続可能距離です」(井上氏)。
今回展示されていたクラウンは、2023年11月に発表されたもの。第2世代MIRAIのプラットフォームでは、主に燃料スタックと呼ばれる水素の制御量を変えるセルに改良を加えたという。
「システム効率が向上したことで、第1世代MIRAIよりも航続距離を伸ばせました。具体的にいうと、水素を効率よく取り出せるようになったんです」(井上氏)。
2020年の時点でシステム効率を高めることに成功していたトヨタ自動車。だが、なぜトヨタの顔ともいえるクラウンに搭載を決めたのだろうか。