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【海外技術情報】アウディ:新型「Q6 e-tron」の充電性能に注目

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【海外技術情報】アウディ:新型「Q6 e-tron」の充電性能に注目

アウディが2024年3月にヨーロッパで発表した「Q6 e-tron」は、ポルシェと共同開発した「PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)」車台をベースにした電動SUVだ。アウディがこの「Q6 e-tron」の充電性能を詳しく説明するリリースを発表したので、翻訳・要約してお届けしよう。

「Q6 e-tron」は800Vシステムだが400Vのステーションでも素早く充電できる

アウディは、PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)用の高電圧バッテリーを設計開発する際、航続距離と充電性能の両立を目指した。バッテリーの高度な熱管理、800V電気システム、新しい電気モーター周りの幅広い効率対策により、気楽な運転と充電が可能になる。

「Q6 e-tron」は充電状態が約10%の場合、最大充電電力270kWの急速充電ステーションでは、わずか10分で(理想的な条件下で)最大255kmの航続距離分を充電できる。この機能は、800Vのアーキテクチャ、新しい高電圧バッテリー、それにPPEの新しい予測熱管理により可能となった。

「Q6 e-tron」の高電圧バッテリーは12個のモジュールで構成され、容量は100kWh(正味94.9)。今後、別のバージョンとして10個のモジュールと容量83kWhのモデルが追加される予定。高電圧バッテリーを10~80%まで充電するのに必要な時間は、わずか21分である。

400Vで動作する充電ステーションでは、バンク充電が有効になる。BMCe(バッテリー管理コントローラー)内の対応する高電圧スイッチが、充電プロセスが開始される前にアクティブになる。これにより800Vのバッテリーが同じ電圧の2つのバッテリーに分割され、最大135kWで並列充電できる。必要に応じて、両方のバッテリーの半分が最初に同じ充電状態になり、次にロックステップで充電される。

充電管理は国際充電規格CSS(Combined Charging System)をサポートしている。高速かつ信頼性の高い充電を実現するために、HCP 5 高性能コンピューターは、E3 1.2 電子アーキテクチャの新しいドメインコンピューター構造内でプロセスを管理する。スマートアクチュエータ充電インターフェイスデバイス(SACID)と呼ばれる通信制御ユニットは、車両と充電ステーション間のリンクを確立するインターフェイスとして機能して、受信した標準化された情報を HCP 5ドメインコンピューターに送信する。

ヨーロッパ市場向けのPPEモデルについては、アウディは車両左後部のCCSコンボコネクターを介したDCおよびAC充電オプションを計画している。追加のAC充電コネクターは車両の反対側に取り付けられる。「Q6 e-tron」シリーズは標準として、11kW交流で充電する。これは空のバッテリーが一晩で再充電されることを意味する。22kWのAC充電もオプションとして後日提供される予定。

「Q6 e-tron」シリーズには「プラグ&チャージ」機能が標準搭載された。「プラグ&チャージ」は現在、「IONITY」充電ステーションなどの充電ステーションで利用できるが、今後さらに多くのプロバイダーで利用できるようになる予定。である「プラグ&チャージ」での充電作業は、充電ケーブルを挿入するだけ。車両と充電ステーションは暗号化された接続を介して通信するから充電は自動で開始される。myAudiアプリに保存されている支払い手段を介して、請求も実行される。

著者
川島礼二郎
テクニカルライター

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系専門書の編集者等を経て独立。フリーランスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに執筆している。

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