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【海外技術情報】BMWモトラッド:マニュアルトランスミッションのマニュアルシフトとオートをボタンで切り替える「オートメイテッド・シフト・アシスタント(ASA)」を発表

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【海外技術情報】BMWモトラッド:マニュアルトランスミッションのマニュアルシフトとオートをボタンで切り替える「オートメイテッド・シフト・アシスタント(ASA)」を発表

ホンダは一部の2024年より、モーターサイクルのトランスミッションの決定版と言えそうな仕組み「E-クラッチ」搭載モデルの市販を開始した。ホンダ「E-Clutch」は、マニュアルトランスミッションのクラッチレバー操作の要否を自分で選択できるようにしたことで、ライダーが様々な走行シチュエーションでモーターサイクルを自由に操る「FUN」領域の拡大した。
それに負けじとBMWモトラッドが2024年5月、ホンダ「E-Clutch」に似た機能を持つ「オートメイテッド・シフト・アシスタント(ASA)」を発表した。

ホンダ「E-Cluth」はマニュアルトランスミッションの決定版

モーターファン・イラストレーテッド本誌208号でお伝えしたが、ホンダ「E-Clutch」とは、「クイックシフター」の制御に加えて、クラッチに電子制御を入れたもの、と捉えると分かりやすい。

ホンダ「E-Clutch」では、ライダーのペダル操作を検知すると、エンジンの点火・噴射制御とともに、反クラッチ制御が行われる。これによりライダーは「クイックシフター」と同じ操作をすることで、よりスムーズかつ素早い変速が可能となる。「E-Clutch」はクラッチ制御を行うためのアクチュエータ(モーター2個)を装備している。このアクチュエーターはクランク横に、小さくだが横に飛び出す形となっている。このアクチュエーターを小型化することができれば、ホンダはより搭載しやすく、ライダーはより乗りやすくなると思われる。

BMWモトラッドのASAは自動変速モードもある

BMWモトラッドが発表した「オートメイテッド・シフト・アシスタント(ASA)」は、“M”シフトモードと“D”シフトモードを有する。2つのモードはボタンスイッチで簡単に切り替えできる。

“M”シフトモードの「M」はManualの頭文字。“M”シフトモードでは、ライダーは従来のようにシフトペダルを使用して変速を行う。選択したギアが適切であれば、シフトチェンジがダイレクトに行われる。選択したギアの最小回転数を下回っていると、“M”シフトモードであっても自動的にシフトダウンが行われ、エンジンストールを防止する。

“D”シフトモードの「D」は、Dynamicの頭文字だが、シフトチェンジが完全に自動化される。BMWモトラッドのリリースを読むと、この自動化がハイライトである、とされる。

ホンダはマニュアルトランスミッションを上手く操作する喜びを、ライダーの技量にかかわらず楽しめるようにと、「E-Clutch」を開発した。BMWモトラッドは、オートマチック(オートメイテッド)に主眼を置いた。

BMWモトラッドが先月発表したのは「ASA」の機能についてのみ、だ。機構の詳細、価格、どのようなモデルに搭載されるのか、については追って発表される。

「ASA」は、ホンダ「E-Clutch」と同じくクラッチ制御を採用している。以下は公式ウェブサイトに記載されたテキスト。

「2つの電子機械式アクチュエーターがクラッチと変速機構を制御して、スムースな発進とオートシフトによるシンプルなライディングをもたらします。ライダーが要求するシフトチェンジは、従来のシフトペダルで作動するギアシフト・レバー・センサーによって伝達されます。追加されたセンサーは、トランスミッションのインプット・シャフト(入力軸)の回転数とクラッチ・ポジションを検知します。それらの数値はトランスミッション・コントロール・ユニット(TCU)へと送られて、エンジン・コントロール・ユニット(ECU)と連携することでクラッチのモデリングと制御、シフトチェンジの制御をおこないます。クラッチは電気機械式アクチュエーターと、クラッチ・エンコーダーとスレーブ・シリンダーの間にダイレクト油圧リンクを設けた油圧システムによって動作します。アクチュエーターは適切なクラッチ・スリップを生み出して、シフト操作時にはクラッチをつなぎ、停車時にはクラッチを切ります」

2つの電子機械式アクチュエーターというのは、イラストにある円筒形のパーツだろう。上側のアクチュエーターがクラッチを、下側のアクチュエーターはシフトドラムを駆動するように配置されている。ライダーの意図とは違うシフト操作や、オートマチック変速を車両が担うから、シフトドラムを操作するアクチュエーターが搭載されている。

公開されたテキストには「追加されたセンサーは、トランスミッションのインプット・シャフト(入力軸)の回転数とクラッチ・ポジションを検知します」とあるが、エンジン回転数や車速も見ているはずで、エンジンの点火・噴射制御も行う仕組みであるはずだ。そうでなければスムーズな自動変速は実現しない。

現在入手できた情報はここまで。詳しい情報が発表されたら、続報を打ちたい。

著者
川島礼二郎
テクニカルライター

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系専門書の編集者等を経て独立。フリーランスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに執筆している。

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