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【技術情報】クボタ:多様な地形に対応するプラットフォーム車両「KATR」がCESイノベーションアワード2025で最優秀イノベーション賞を受賞!

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【技術情報】クボタ:多様な地形に対応するプラットフォーム車両「KATR」がCESイノベーションアワード2025で最優秀イノベーション賞を受賞!

クボタノースアメリカが、同社の全地形型プラットフォーム車両「KATR」がCESイノベーションアワード2025プログラムの最優秀イノベーション賞を受賞した、と発表した。クボタの全地形型プラットフォーム車両「KATR」は、過酷なオフロード環境下にある農業や建設現場で利用できる車両。安定性制御機能を備えた運搬用デッキを備えており、このタイプの車両としては初めてのコンパクトな4輪ロボットである。

クボタ「KATR」がCESイノベーションアワード2025で最優秀イノベーション賞を受賞!

CESイノベーションアワードプログラムは、世界最大級のテクノロジー見本市であるCESの主催者であり運営者でもあるCTAが所有およびプロデュースしている。クボタ「KATR」は、専門家審査員団により、革新性、技術、機能性、美しさ、設計を判断基準に審査され、産業機器・機械製品部門で最優秀賞を受賞した。

クボタノースアメリカの最高技術責任者を務めるブレット・マクミケルは以下のように述べた。

「クボタには、製品は技術的に優れ、生産性が高く、ユーザーにとって楽しいものであり、持続可能性を確保するものでなければならない、という哲学がある。当社の目標は、個人と社会の生活の質を向上させること、である。『KATR』には多用途性があり、農業と建設部門の生産性を高めることができる」

全地形型プラットフォーム車両「KATR」の概要

「KATR」は高度な安定性制御機能を備えた4輪の多機能ロボットである。傾斜地や凹凸のある路面でも4本の脚を油圧で曲げ伸ばしすることで、荷台を水平に保ったまま走行することができる。不整地でも荷台を傾けることなく積載物の運搬ができるうえ、さまざまな機器と組み合わせることができる。クボタは「KATR」を農林業と建設業、災害現場など、幅広い現場での活用を想定している。リリースで例示された作業分野の多くは、人手不足に悩まされている。「KATR」の社会実装により、作業の効率化(と安全性向上)が期待できる。

例えば日本農業について言えば、運搬は重要な作業の一つである。農作業には、苗や収穫物、それに農業資材等の運搬がついて回るからだ。ただし、「KATR」のような多目的作業車両は、機能が「運搬」だけでは導入コストに見合わない、と考えられている。そのため既に市販されている多目的作業車両は、「薬剤散布」や「除草」などの機能を有している。ただし残念ながら、こうした多目的車両は(少なくとも)日本においては、広く普及するに至っていない。普及しない理由は、導入コストに見合った効率化が実現しないから、に尽きる。

今一度、「KATR」を見てみよう。クボタノースアメリカのリリースには

「リアルタイムの安定性制御(荷台を水平に保つこと)、堅牢な構造、および多用途の操作を革新的に組み合わせた、要求の厳しいオフロード用途の、コンパクトでありながら堅牢な設計の先駆的なソリューションである。

独自アルゴリズムがセンサーが取得したデータをリアルタイムで処理し、ロボットの4本の油圧作動脚を伸縮させてプラットフォームの安定性を維持する。さらに4つの独立したモーターが堅牢な全地形対応能力を提供し、困難な環境でも移動できる」

と記載されている。またクボタ本社のリリースによると、「電気またはエンジンのいずれかで駆動するよう、開発が進められている。最大積載重量は240kg。機体に取り付けられているジョイスティックのほか離れた場所からコントローラーで操作でき、小回りが利くため狭小地でも活躍する」とある。

クボタ本社のリリースにある以下の記述に注目したい。「商用バンや軽トラックの荷台に収まるコンパクトなサイズも特徴です」とある。これは日本市場を意識していることを示している。

クボタは世界120ヵ国以上でビジネスを展開しており、海外売上比率は約80%もある。それでもクボタは、「KATR」を日本農業も視野に入れて、開発してくれている。既存の多目的作業車両よりも安定して走行(運搬)が可能な「KATR」ならば、山がちな地形で栽培されることの多い日本の果樹園でも、使うことができるかも知れない。

またクボタは、最大で農薬を40%・肥料を20%削減できるAIを使用したスマート散布ソリューションを有しているから、「散布」機能においても既存製品以上の費用対効果を提供できる可能性がある。ということは、日本でも広く普及する可能性があるのだ。今後の開発に期待したい。

著者
川島礼二郎
テクニカルライター

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系専門書の編集者等を経て独立。フリーランスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに執筆している。

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