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【技術情報】ホンダ:世界初となる電動過給機付きV型3気筒エンジンの量産化に向けて開発!

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【技術情報】ホンダ:世界初となる電動過給機付きV型3気筒エンジンの量産化に向けて開発!

2024年11月10日まで開催されていたモーターサイクルの国際展示会EICMA2024(ミラノショー)にて、ホンダは世界初となる電動過給機付きのV型3気筒エンジンを発表した。

これまでのホンダ製V型3気筒は2ストロークエンジンだった

ホンダ製の市販二輪車用エンジンでV型3気筒といえば、1980年代にまで遡らねばならない。ホンダ初となる2ストロークエンジン搭載車「MVX250F」が、水冷90度V型3気筒250ccエンジンを搭載していた。

クランクケース前方水平に2気筒、その後方に90度の角度で1気筒としたユニークな90度V型3気筒のレイアウトを採用。40馬力の高出力と、3気筒でありながら2気筒並みのスリムでコンパクトサイズを実現。後方1気筒の慣性マス重量をコンロッドなどの往復運動部分で前方2気筒とバランスさせるなどにより、理論上一次振動ゼロを達成していた。
同様のレイアウト=90度V型3気筒エンジンは「NS400R」でも踏襲された。ただし両車が搭載していたのは、いずれも2ストロークエンジンである。

開発中の電動過給機付きV型3気筒エンジンは、(あらためて言及されていないものの)4ストロークエンジンであるに違いない。挟角は75度というが、一次振動はバランサーで処理するのだろう。

ホンダは電動過給機+V型3気筒という組み合わせにより、高性能かつコンパクトに、エンジンを仕上げようとしているようだ。電動過給機の採用により、エンジン回転数に関わらず任意に過給をコントロールできる。これにより低回転からハイ・レスポンスなトルクデザインを実現できる。リリースには、「マスの集中化」と「インタークーラーを必要としない設計を行うことで軽量化にも貢献」すると記載されている。

過給機の搭載という点で先んじたのはカワサキだ。世界初となる機械駆動遠心式過給機(スーパーチャージャー)を備えた998ccの水冷直列4気筒エンジンを開発。今では同社製フラッグシップモデル各車に搭載されている。カワサキ製スーパーチャージドエンジンは、(程度の差こそあれ)圧倒的なパワーと加速、高速性能を楽しむのに最適である。ホンダが開発している電動過給機付きV型3気筒エンジンは、カワサキとの住み分けが実現しそうだ。

リリースは「電動過給機付きV型3気筒エンジンは、内燃機関領域での新たなチャレンジとして位置づけ、モーターサイクルを操る楽しさ、所有する喜びをより一層体感いただくことを目指しています。今後、HondaのFUNモデルへの適用を予定しており、量産化に向け、引き続き開発を行ってまいります」と結ばれている。

著者
川島礼二郎
テクニカルライター

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系専門書の編集者等を経て独立。フリーランスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに執筆している。

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