【海外技術情報】GM&ホンダ:合弁会社が商業生産を開始した水素燃料電池システムは耐久性2倍で製造コストは1/3
GMとホンダが量産価格帯BEVの共同開発を中止したことは大いに話題になったが、一方で両社共通プラットフォームを使うBEV「プロローグ」は2024年3月に発売されることが発表された。ここで注目するのは、その前日にGMとホンダが発表したリリース。両社による合弁会社Fuel Cell System Manufacturingが水素燃料電池システムの商業生産を開始した。
Fuel Cell System Manufacturing(以下、FCSM)はGMとホンダ同額による総額8,500万ドルの投資により、2017年1月にミシガン州ブラウンズタウンにある70,000平方フィートものGMの既存バッテリーパック生産工場内に設立された。すでに80人の雇用を創出している。FCSMで生産される世界クラスの水素発電ソリューションは、両社によってさまざまな製品用途や事業ベンチャーで使用される。
FCSMのソーヘイブ・ハック社長は「GMとホンダは、輸送用やその他目的で燃料電池の量産を開始した、初の燃料電池システム製造合弁会社となり、業界にとって歴史的な一日となりました。両社による継続的な投資と取り組みが、FCSM での成功の原動力となっています。この取り組みは、幅広い用途や顧客向けに、高品質で耐久性があり手頃な価格の水素燃料電池システムを製造する、という当社の使命と一致しています」と述べた。
ホンダとGMは2013年に次世代燃料電池システムの共同開発に取り組み始めた。システム性能の向上に加えて、両社は耐食性材料の使用と低温動作を改善したことで、2019年の「Clarity Fuel Cell」が搭載した水素燃料電池システムと比較して、耐久性を2倍に高めたという。また両社は、スケールメリットの活用、セル設計の進歩、補助機器の簡素化、共通調達の活用、高価な材料の使用削減による開発および製造コストの削減にも注力。その結果、新しい燃料電池システムの製造コストは、2019年の「Clarity Fuel Cell」が搭載した水素燃料電池システムのコストと比較して3分の2安くなるという。
FCSMでは生産性を向上させながら最高レベルの品質を確保するために、多大な努力をしている。具体的には、膜電極接合体の製造と燃料電池スタックの組み立てを自動化するための、初めての生産工法が多数組み込まれているという。
ホンダによると、FCSMで生産される燃料電池システムは2024年内にホンダが発売予定の新型燃料電池自動車(FCEV)に搭載されるほか、商用車、定置電源、建設機械を加えた4つの適用領域を中心としたB to B顧客に向けた製品・事業への適用拡大により、水素需要の喚起を図って行くという。