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【海外技術情報】ZF:商用車向けeアクスルドライブシステムで電動モビリティを加速する

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【海外技術情報】ZF:商用車向けeアクスルドライブシステムで電動モビリティを加速する

ZFが商用車の完全電化に向けて最新のeモビリティキットを発表した。商用車メーカーが車両の電動化に必要なすべての主要テクノロジーを提供するZFの製品範囲には、全電動セントラルドライブ、アクスルドライブ、eコンポーネントが含まれるという。
TEXT:川島礼二郎(Reijiro KAWASHIMA)

ZFが『グローバルテクノロジーデイ』でeモビリティキットを発表

ZFの商用車ソリューション(CVS)部門が、フリードリヒスハーフェンで開催されたZFの『グローバルテクノロジーデイ』において、商用車の完全電化に資するソリューションとしてeドライブキットを発表した。商用車ソリューション部門ドライブラインシステム担当シニアバイスプレジデント、ウィンフリード・グリュンドラー氏は以下のように述べた。

「このキットは拡張可能なアクスルとセントラルドライブシステムで構成されています。他のZF電気システムと同様に、バッテリーや燃料電池などのさまざまな電動技術と簡単に組み合わせることができます。このキットは社内で開発・製造された幅広いeコンポーネントによって補完されています。
商用車の電化におけるZFの『ワンストップ ショップ』をさらに拡張すること、つまり幅広い製品ポートフォリオとグループ全体の広範な専門知識を組み合わせることで、コスト効率の高い製品の提供が可能になります。このイノベーションによりZFは世界中の主要な商用車ブランドから優先されるeモビリティ開発パートナーとしての地位をさらに強化しました」

車軸ベース、完全に統合されたコンパクトな設計

新たに発表された『AxTrax 2』はバッテリースペースだけでなく貨物や客室に利用可能なスペースを最大化することで、車両メーカーの設計の柔軟性を高めることができる。電気駆動装置はブレーキ、ADAS、自動運転システムなどの主要な車両機能と完全に同期することができ、車両の安全性と効率性の向上に役立つ。また高度なデジタルおよびテレマティクスシステムがCANバス経由でeアクスルと情報交換できる。

『AxTrax 2』は2つのバージョンで提供される。商用車向けの『AxTrax 2』は210kWの連続出力が可能。また『AxTrax 2 デュアル』は電動モーターを2つ備えており、ヘビーデューティ用途に最適。380kWの連続電力を提供する。どちらともエンジン、トランスミッション、ドライブシャフト、従来のアクスルから置き換えることで、商用車を電動化する。『AxTrax 2』がラインナップに加わることで、商用車メーカーは車両の形状、機能、アーキテクチャを再考する機会が与えられる。空力の強化、自動運転への対応、バッテリー容量の増加を検討できる。

あらゆる用途に対応するZFの電動ドライブトレイン

ZFはスケーラブルなモジュラープラットフォームアプローチを活用することで、あらゆるクラスの商用車プラットフォームの電動化を支援できる。『AxTrax 2』はセミトレーラーの電気駆動車軸として使用できる。ブレーキ時には電気エネルギーを回収できる。エネルギーはバッテリーに一時的に保存される。エネルギーを回収することで、燃料やエネルギーの消費量だけでなく、二酸化炭素排出量を削減できる。

著者
川島礼二郎
テクニカルライター

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系専門書の編集者等を経て独立。フリーランスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに執筆している。

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