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【海外技術情報】MAN:は道路外での駆動システムの脱炭素化は幅広いドライブコンセプトで達成する

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【海外技術情報】MAN:は道路外での駆動システムの脱炭素化は幅広いドライブコンセプトで達成する

MANトラック&バスは「変革を加速して、二酸化炭素排出のないドライブに向けて踏み出している」と主張している。商用車においてはMANはバッテリーEVに重点を置いている。MANトラック&バスの事業部門であるMANエンジンにしても、特殊用途を脱炭素化するという目標は同じだ。ここでは、水素燃焼エンジンや水素二元燃料エンジンを含めた、MANエンジンの道路外における脱炭素化の取り組みについて簡潔に紹介しよう。
TEXT:川島礼二郎(Reijiro KAWASHIMA)

「私達の目標は、農業および建設、船舶、それに発電におけるソリューションを顧客に提供できるよう、ポートフォリオを変革すること。CO2を排出しないようにすることです」とMANエンジンの責任者、ミカエル・リンドナー氏は述べた。

MANエンジンの顧客は海運、農業機械、発電など、多様な業界に属している。これは、求められるドライブの要件が異なること、燃料の入手可能性が異なること、エネルギー貯蔵に利用可能な設置スペースが異なることを意味する。したがって中長期的には、多様なドライブコンセプトを利用できる。

「将来的には、MANエンジンはCO2排出量を最小限に抑えて車両や機械を運用するための多様な要件を満たすために、水素および再生燃料用の燃焼エンジン、バッテリー貯蔵システム、さらに完全な電気駆動システムを活用するようになるでしょう」とミカエル・リンドナー氏は説明した。

MANエンジンは既に、業界の要件を考慮しつつ同時にCO2排出量を削減する幅広い製品を提供している。それには、定置型バイオガスエンジン、ハイブリッドおよび二元燃料エンジン、再生可能燃料および代替燃料を使用するためのエンジンが含まれる。

MANエンジンが将来提供する予定のテクノロジー

バッテリーストレージと統合型eドライブシステム

ニュルンベルクではバッテリーパックが社内で大規模生産される。これらバッテリーと電動パワートレインは自社車両での使用に加えて、将来的には農業機械や建設機械、船舶のOEMメーカーにも提供される予定。蓄電分野では新製品の利用(1st Life)に加えて、電池の二次利用(2nd Life)も行う。

水素燃焼エンジン

水素燃焼エンジンは充電インフラが不十分な場合など、高い柔軟性が要求されるアプリケーションにおいてバッテリー電気駆動の補助または代替として使用されるようになる。たとえば、海事またはオフロードで使用できるが、熱と電力を組み合わせた固定式も想定される。写真は2023年5月初めからテストベンチに設置されている、熱と電力を組み合わせたH3268定置型水素エンジンである。

ハイブリッド システム

MANスマートHYBRID Experienceは2021年にヨットアプリケーション向けに初めて発表された。現在のD2862(V12)、D2868(V8)、およびD2676(R6)シリーズのすべてのMAN舶用エンジンと組み合わせることができるので、商業船舶における軽量、中型、重量アプリケーション向けエンジン性能を拡張できる。パワートレインのシステム総出力が147kW~1,838kWに達し、総出力の最大71%のハイブリッド化レベルを達成できる。プラグインハイブリッドシステムの高電圧バッテリーは統合された陸上接続を介して、または走行中にディーゼルエンジンや車載ユニットによって充電される。MANスマートHYBRID Experienceはバッテリー電気モードで二酸化炭素を発生させない走行およびアンカーリングを可能にする。

水素二元燃料エンジン

世界初の水素を燃料とする洋上風力発電所向けの乗組員輸送船が、2022年5月10日に進水した。オランダの造船所であるWindcat Workboatsが製造したHydrocat 48であり、MANによる実証済みの2基のエンジン=MAN D2862船舶用エンジンを搭載している。それは二元燃料運転つまり2種類の異なる燃料を使用できるように準備されており、水素噴射システムが追加された。水素を使用すると、排ガス中の二酸化炭素排出量が平均約50%、最大で80%削減される。

再生ディーゼル/HVO

船舶およびオフロードエンジンは、HVO(水素化植物油)としても知られる再生ディーゼルとしての使用が承認されている。顧客はこれを使用して、従来のディーゼル燃料を置き換えたり、混合したりして、MANエンジンをグリーンディーゼルまたは再生可能ディーゼルと併用することができる。これは動植物由来の廃棄物および残渣、作物残渣などのセルロース系バイオマス材料などに基づいて得られます。HVOは従来のディーゼルと比較して、排気ガス中の温室効果ガス排出量を最大90%削減する。

著者
川島礼二郎
テクニカルライター

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系専門書の編集者等を経て独立。フリーランスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに執筆している。

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