交通事故を減らすテクノロジー:高機能センサーを活用し性能をアップしながら普及も進む先進運転支援システム【AD/ADASの現状をおさらいする Vol. 8】
運動性能や燃費に匹敵するほど注目を集めるようになったのが、運転支援システムを含む車両の安全技術だろう。より高性能のセンサーを複数活用して性能を大幅にレベルアップさせるほか、より幅広い価格帯のモデルにもシステムの充実が進んでいる。各社のADAS(先進運転支援システム)をMotoFan illustrated 195号(2023年1月号)から抜粋して紹介する(情報は当時のもの)。
TEXT:MFi
事故予防に大きな力を発揮するADAS
2008年に登場したスバルの初代アイサイトで国内でも認知が急速に高まった衝突被害軽減ブレーキは、車両の横滑り防止装置(スタビリティ・コントロール・システム)とともに、国産の新型乗用車には搭載が義務化されるまでに至った。事故予防に絶大な効果があることから、より高機能なシステムの実現に向けて各社が開発に傾注しており、進化のスピードも顕著だ。
ADASと呼ばれる運転支援システムの代表である衝突被害軽減ブレーキは、ごく初期は近赤外線センサーを用いた簡易的なデバイスが使われていたが、ステレオカメラを用いた前述のアイサイト、ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせなどシステムは進化してきた。ソフトウェアの高機能化も相まって運転支援が可能な領域はより拡大している。
そして今、もっとも注目されているセンサーが、レーザーによる画像検出と測距を行なうLiDARだ。格段に高いレベルで測距できるだけでなく、歩行者や車両などをより正確に検知できる。悪天候にも影響されない利点は自動運転を視野に入れたデバイスの最右翼とみなされ、スタートアップも含めて多くの企業が開発に鎬を削っている。現状では高コストが普及を阻んでいるが、一気に搭載モデルが増加する予兆はある。
そしてもうひとつの流れとして、従来は高価格帯のモデルにしか装備されていなかった多機能のADASがより多くのモデルに普及しつつある動きも見逃せない。低コスト化によるコモディティ化もまた、事故低減には有効なのである。