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ナチュラルなフィーリングを「演出」したマツダのハイブリッド | e-SKYACTIV PHEV/e-SKYACTIV D

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ナチュラルなフィーリングを「演出」したマツダのハイブリッド | e-SKYACTIV PHEV/e-SKYACTIV D
e-SKYACTIV PHEV|水力発電がさかんなノルウェーなど「電源のほうがカーボンニュートラル」という地域も存在し、その場合は電池リッチなパワートレーンが有利。それに対するマツダの回答が355Vのシステム電圧を用いるPHEVシステムである。エンジンとモーターのふたつのパワーソースをシーンに応じて使い分ける/ともに使う制御で、モーター走行もパターンに含める。

「ターボもモーターも使わない」という印象だったSKYACTIVパワートレーンだったが、CX-60では2種のハイブリッドシステムが市場投入されている。それぞれの構造と狙いをエンジニアに聞いた

TEXT:MFi FIGURE:Mazda

SKYACTIVとモーター、SKYACTIVの電動化というのがいまいちピンとこない、という方も多いかもしれないが、これまでもさまざまな取り組みがなされてきた。主要な例を挙げてみると、2011年、SKYACTIV-Gのプロトタイプとも言えるP3-VPS型(1.3ℓ)が電動VVTを採用、ミラーサイクルを実現した。当時は電動VVTは非常に高価と言われていて、日本のエンジンを眺めてみればP3-VPS型のほかにこれを用いているのはレクサスの積むUR型くらい。

いかにマツダが高圧縮比設計:高膨張比サイクルを成し遂げたかったかがうかがえる。翌2012年にはi-ELOOPを発表。回生エネルギーの回収に電気二重層キャパシタを使っていたのが非常にユニークだった。オルタネーターの駆動損失を積極的に減らすために、減速時に回生オルタネーターが発電したエネルギーをキャパシタに蓄電、軽負荷走行時などには各種電装への給電をまかなうことで駆動損失を低減する仕組みである。瞬間的な電流の出し入れ性能を検討した結果、蓄電装置に電気二重層キャパシタを採択するに至っている。

SKYACTIV-Xにおいても24Vのシステムを使うM HYBRIDを展開、回生のみのi-ELOOPに対して力行までを担う方式としている。変わり種は2013年のアクセラに設定されていたSKYACTIV-HYBRID。トヨタから提供を受けた2モーター式ハイブリッドトランスアクスルをSKYACTIV-G 2.0と組み合わせたユニットであった。

そのSKYACTIVがハイブリッド/電動化に本腰を入れ始めた。「ひとつのパワートレーンで世界各地の仕向け地に対応するのが難しい環境になっている昨今、地域ごとのエネルギー事情や電源事情に合わせたパワートレーンを提供していく。マツダではマルチソリューションという言い方をしています」と、野田岳人氏は登場の背景を説明する。

それを裏付けるかのように、今回CX-60で新たに発表されたハイブリッドソリューションは2種、高電圧型のPHEVと48V型のマイルドハイブリッドである。両者ともに、エンジン〜クラッチ〜モーター〜クラッチ〜8速ATというメカニカルレイアウトは共通、現在はPHEVがエンジンに4気筒ガソリンを、48Vマイルドハイブリッドが6気筒ディーゼルを積み、当然、モーターおよびバッテリーのパフォーマンスは大きく違う。

e-SKYACTIV D|「燃費効果をもっとも高めようとすると、オルタネーターの負荷を減らすのがいちばん効率が良かった」とは野田氏の言。つまりi-ELOOPと同様のコンセプトで、回生蓄電とそれによる発電機駆動機会の低減、駆動損失の回復を主たる目的とし、充電状態によってはモーターで力行アシストも担うというのが基本構想。

いま改めてハイブリッドを復習する

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