直6エンジン縦置きベースのマイルドハイブリッドとPHEVシステム |マツダ ラージ商品群を振り返る
脱炭素化に向けた現実的なソリューションとして、ハイブリッドが再び注目されている。そこで、マツダの直列6気筒エンジン縦置きプラットフォームをベースとしたマイルドハイブリッドとプラグインハイブリッドを、Motor Fan illustrated誌(187号)に掲載された過去の記事から改めて紹介する。美祢のテストコースでの開発車両への試乗機会に、設計思想についても問いかけたレポートである(情報は当時のもの)。
TEXT:世良耕太/鈴木慎一/MFi FIGURE:MAZDA PHOTO:MAZDA/MFi
1:さまざまな検討を重ねた結論としての大排気量多気筒化
SKYACTIV-D 3.3|直列6気筒のラージ群専用DE
マツダはラージ商品群に合わせて3.3L直列6気筒ディーゼルエンジンを新開発した。(ラージ商品群最軽量クラスとなる)CX-60のディーゼルエンジン搭載車は車両重量が約1900kgとなる。この車重でマツダが掲げる「意のままの走り」を実現するには、最大トルクが550Nm必要だと算出した。ただ必要なトルクを確保するだけではなく、燃費と排ガス性能も高次元で両立するのに必要な排気量は3.3Lだと結論づけた。排気量が3.3Lに決まったので、最適な気筒数は「4」ではなく「6」になった。先に6気筒ありきではない。もっと小さな排気量で550Nmを発生させることは可能だが、余剰の空気を燃費と排ガス性能に振り向けるため、あえて大きな排気量(=空気量)を選択した。
2:マツダスパイラルを高めていくためのメカニカルレイアウト
>縦置きプラットフォーム
世界各地のニーズ(とくに上級志向の)や規制を考慮し、48Vマイルドハイブリッド、プラグインハイブリッド、直列6気筒のガソリンエンジンとディーゼルエンジンに対応が可能なプラットフォームについて検討した結果、選択したのが縦置きプラットフォームだった。意のままに運転できるダイナミクスを考えても、(横置きではなく)縦置きが妥当との判断である。前後重量配分を最適化し、4輪にかかる重量を均等化できるのが最大のメリット。縦置きレイアウトなので主駆動輪はリヤになるが、新プラットフォームはフロントにも駆動力を配分するAWDが基本となる。人の操作とクルマの挙動の時間変化がシンクロするよう、力が伝達する下流(ステアリング<フロントサス<リヤサス)ほど剛性を高めた。