狭小住宅と軽自動車の国 ニッポンはいつまで「G7」でいられるか
牧野茂雄の「車交箪笥」しゃこうだんす vol.4
長くやってりゃ情報ルートと人脈は築ける。
もうかれこれ40年以上、自動車を取材してきたから、
結構なネットワークを持つことができた。
あちこち掘って、あちこち探ったネタを、
私個人の分析と私の価値観でお届けします。
ウクライナのゼレンスキー大統領も来日したG7広島サミットは、当初の予想以上に世界から注目されている。欧米諸国のリーダーがそろって原爆資料館を訪れ、慰霊碑に献花を行った。第二次大戦戦勝国の首脳(ドイツとイタリア以外)が「日本の招き」に応じたことは歴史的に意義がある。いっぽうクアッド会合のため参加した核保有国でもあるインドは、国連安保理常任理事国入への意欲を示している。名目GDPではアメリカが世界トップで2位中国、3位日本、4位ドイツ、5位インド、6位イギリス、7位フランス……だが、冷静に考えると日本の3位脱落はそう遠い将来ではないかもしれない。
「日本の住宅が狭くなっている」との記事が5月21日付けの日本経済新聞電子版に掲載された。建設資材費高騰の長期化が招いた現象だという。国交省などの資料から日経が作成したグラフでは、日本の持ち家平均床面積は120㎡でアメリカの4分の3、イギリスの約10%増、フランスの4%減だ。
しかし、これはいまに始まったことではない。その昔は「同じ間取りの狭いアパートに暮らす日本人」と言われた。
1970年代の末期に、当時のEEC(欧州系経済共同体)内部で書かれた報告書の中で、日本人は「同じ間取りの狭いアパートに暮らす」と表現されていた。EC(欧州共同体)の時代は、EC中にEECという組織があり、多くの文書はフランス語だった。私がEU(欧州連合)になる直前のECの産業製作部門を取材したときも、もらった資料の一部はフランス語だった。
フランス語を英語に翻訳するときに「同じ間取りの狭いアパート」という慣用句の中のラパン(ウサギ)が取り出されて「ウサギ小屋」になり、日本のメディアがそれをそのまま伝え、新聞もテレビも「ウサギ小屋」と報道した。