エンジンテクノロジー超基礎講座068|ホンダが中低速を重視!? 物議を醸した二輪用2気筒400ccエンジン[NC47E]
2013年、ホンダは二輪の中排気量クラス向けに新たな2気筒エンジンを開発し発表した。その1年前に発売された700ccに続く新世代エンジン第二弾の仕様設定と最新技術の“使い方”に注目した。
TEXT:近田 茂(Shigeru CHIKATA) PHOTO:瀬谷正弘(Masahiro SEYA)/Honda
2013年1月末、ホンダは「次世代」をうたった新開発のスポーツバイク用400ccエンジンの技術説明会を行なった。この「次世代」という言葉と400ccという排気量に心踊らされたのは筆者だけでなかったはずだ。400ccといえば国内専用設定となる排気量。普通二輪免許証で乗ることができる最大クラスである。今やその人気は低迷し、バイクメーカー各社がリリースするラインアップも寂しい状況だが、そこへ活を入れるエンジンを新規開発したホンダの心意気には心底拍手を送りたい。
この新型エンジンは水冷の並列(直列)2気筒で、DOHC4バルブ。ボア×ストロークは67mm×56.6mmというショートストロークタイプの399ccだ。左右気筒のボアピッチは74mmで、腰上のスリムさはかつての同排気量の空冷単気筒をしのぐものがある。ちなみに67mmというボアや74mmというボアピッチはピュアスポーツバイクであるCBR600RRの4気筒エンジンと同じで、技術やデータの共有化が図られている。当時はエンジンの概要発表のみで、出力などのスペックや、その搭載車両の仕様・登場時期などについては明らかにされなかったが、ホンダは「スポーティーでありながら扱いやすい、高品位でベーシックな、次世代を見据えたスポーツエンジンとして開発した」と述べた。
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