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エンジンテクノロジー超基礎講座079|マツダ「電子式巻線切替え機構」は、EVのVTECとなるか?

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エンジンテクノロジー超基礎講座079|マツダ「電子式巻線切替え機構」は、EVのVTECとなるか?

デュアルフューエル水素ロータリーエンジンを発電機として使うシリーズ・ハイブリッド車の駆動を司る電動モーターには、驚くべき発想による新機構が採用されている。
TEXT:松田勇治(Yuji MATSUDA) FIGURE:MAZDA

乗用車用エンジンの性能と効率を大きく向上させた技術のひとつに、さまざまな可変機構の考案と実用化がある。

点火系は電子化によって遅角・進角を自在に制御でき、吸気系は管長の可変化でリアルタイムの要求空気量と流速変化を実現した。可変バルブタイミング機構は複数のカムプロファイルを運転中に切り替えるという離れワザを実現、高出力化と低回転域での実用性を両立させた。そして今では、バルブリフト量すら連続可変化されている。これらの機構が、エンジンの性能と効率の向上に大きく貢献してきたことは論を待たない。

そして自動車技術者は、来るべきEV時代に向けてエレクトリック・パワートレインの分野でも可変化技術を駆使しようとしている。マツダ・プレマシーハイドロジェンREハイブリッドが採用した「電子式巻線切替え機構」は、その最初の一歩を記したものといえる。

現在、ほとんどのEV/FCVが採用している交流・永久磁石型同期方式モーターは、ステーター(固定子)が巻線を持ち、永久磁石がローター(回転子)となる構造だ。効率が高く、ブラシとコミュテーター(整流子)の接触がないため、音振や電気的ノイズの面で有利であり、またメンテナンスフリー性も高いといった利点を持っている。

このタイプのモーターは、交流電源の周波数に応じてステーターが作る回転磁界の速さに同期して回転する。また、回転磁界の速さは交流電源の周波数とステーターの極数によって決まる。極数が同じ場合、巻線数が多いと発生する電磁力が大きくなるので、低回転域から高トルクを発生させられる。しかし、回転数が高まるとローターの磁力線によって逆方向の電圧が発生し、回転数が制限されてしまうため、高回転化したい場合は、低回転域での高トルクを諦めて巻線数を少なくせざるを得なかった。

プレマシーハイドロジェンREハイブリッドは、デュアルフューエル水素RE、発電機、インバーター、モーターを一体化したパワートレインを持つ、シリーズ・ハイブリッド方式を採用。圧縮水素タンク容量の増大もあって、水素による航続距離を約200kmに延長。モーター駆動によって、軸出力は水素RE単体比で40%の向上を達成している。

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