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FOMM:軽自動車サイズのインホイールモーターBEV「FOMM TWOコンセプト」を発表【ジャパンモビリティショー2023】

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FOMM:軽自動車サイズのインホイールモーターBEV「FOMM TWOコンセプト」を発表【ジャパンモビリティショー2023】
FOMM TWOコンセプト。写真はロータリーモーション実演中の様子

小型モビリティメーカーのFOMM(フォム)は、軽自動車サイズのインホイールモーターBEV「FOMM2 TWOコンセプト」を初公開。その走行実演も行った。
[東7ホール 小間番号E7405]

REPORT:遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
PHOTO:遠藤正賢/FOMM

国内子会社のF2テクノが主体となって開発中のFOMM TWOコンセプトは、超小型モビリティ「FOMM ONE」に続いてインホイールモーターをフロントに搭載するとともに、2022年6月に特許を登録した独自の四輪ダブルウィッシュボーン式サスペンション「!(びっくり)サスペンション」を採用。レベル4自動運転システムも組み合わせることで、全方位自動運転を可能にした。

ロータリーモーション実演中の様子。前輪が大きくトーイン、後輪がトーアウトとなることでほぼ移動せず回転が可能

これにより、パラレルモーションとロータリーモーションの双方に対応しているため、縦列駐車のスペースに平行移動で出し入れできるほか、独楽のように回転することもできるため、最小回転半径も1.9mと、一般的な軽自動車の半分以下に抑えられている。

パラレルモーション実演中の様子。前後をわずかな隙間でFOMM ONEに挟まれた状態から平行移動し駐車スペースから脱出した

インホイールモーターを採用するメリットはこれだけではない。室内空間の拡大にも貢献しており、全長×全幅×全高=3,395×1,475×1,890mm、ホイールベース2,520mmの超背高軽ワゴンサイズながら、運転席が中央に配置され後席は前後ロングスライドが可能な1+3レイアウトを実現している。その室内空間の広さは一般的な軽自動車の約1.2倍に達するという。

センターステアリングレイアウトを採用した運転席まわり。駆動用バッテリーは運転席下に搭載される
中央がやや小さめな3座式の後席は独立してロングスライドが可能

また、同社が「スーパーバッテリー」と呼ぶリチウムイオンバッテリーを搭載し、超急速充電規格「ChaoJi」で900kW充電を行えば48秒で満充電が完了。1kWhあたり走行距離は10.0km/kWhと、三菱i-MiEVおよび日産サクラの9.0km/kWh(同社調べ)よりも低電費としている。

1kWhあたり走行距離の比較グラフ

この「FOMM TWOコンセプト」では、車体設計をユタカ技研、ART、ダイナックス、システム設計をボッシュエンジニアリング、NECと共同開発。量産車においてはフォックスコンと生産協力について協議中で、タイPTTとの合弁会社・ホライズンプラスに生産を委託する計画。販売に関してはFOMMの株主であるヤマダ電機を中心としつつも、FOMMの鶴巻日出夫社長は「順次拡大予定」としている。

FOMM TWOコンセプトに採用されたユタカ技研の「次世代小型モビリティ向け汎用フレーム

アフターサービスは、現時点でFOMM ONEのメンテナンスとコンバージョンEV改造事業の契約を締結している、三井住友海上が支援する先進的自動車整備事業者・アスクネット会員16社を皮切りに、上位組織であるアドバンスクラブにも順次拡大する予定となっている。

また出光興産とも、BEVのメンテナンスおよびコンバージョンEV改造事業における協業の検討を開始。「FOMM TWOを量産した際にはそのメンテナンスも担っていただく」(鶴巻社長)との展望を示している。

FOMMの鶴巻日出夫社長

FOMM TWOの量産はまず商用モデルより開始。運転席センターシートの下にバッテリーを配置しその左右から引き抜くタイプの交換式モデル「デリバリータイプ1」は、「車両本体価格はバッテリーがセットの売り切り式で200万円以下を目指す」。

FOMM TWOデリバリータイプ1
FOMM TWOデリバリータイプ1のバッテリー搭載イメージ図

そのほか、運転席を右側に配置しその左側にバッテリーを搭載するモデルは「バッテリーコンテナはシェアモデルを考えているので車両本体価格150万円以下を目指す」としており、いずれも2026年頃に発売予定。

FOMM TWOデリバリータイプ2
FOMM TWOデリバリータイプ3のバッテリー搭載イメージ図

ジャパンモビリティショー2023:テクノロジーレポート

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