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パナソニック:モビリティと家・街・人をいかに繋ぐか【ジャパンモビリティショー2023】

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パナソニック:モビリティと家・街・人をいかに繋ぐか【ジャパンモビリティショー2023】

パナソニックは、10月26日9時30分から自社ブースで「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」への出展概要のプレスブリーフィングを行った。同社は、本ショーの前身である東京モーターショーに事業部門単独での出展はあったものの、パナソニックグループ全体として一つのブースを展示するのは初のこととなる。
[東7ホール 小間番号E7303]

TEXT&PHOTO;渡邉 生(Sei WATANABE)

パナソニックグループが今回掲げるテーマは「笑顔が循環するくらしへ。」。モビリティが家・街・人をつなぎ、移動によって誰かを笑顔にする社会の実現に向けた取り組みを紹介する。登壇したパナソニック オペレーショナルエクセレンス スペース&メディアコミュニケーションセンター スポンサーシップ・イベント推進室 展示・イベント課の伊藤寛人課長は、冒頭で「100年以上にわたってくらしに携わってきたパナソニックが、将来のモビリティ社会がどのように実現できるのかを真剣に考え、今回の出展に至った」と出展の動機と狙いを述べた後、大型スクリーンを用いた二つの動画を投影し、各展示コーナーを紹介した。

一つめは、パナソニックグループが描く2035年の移動と生活を実現する方向性を紹介するもの。自家用の電気自動車(EV)を軸に、車内では「移動を感じさせない快適空間」を実現し、社会とは「街から見守る安全技術」で繋がり、家庭では蓄電池の活用で「家とクルマの新しい関係」を築くとした。最後にはグループが掲げる長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を紹介し、地球環境と未来に向けたアクションを続ける決意を示した。

伊藤寛人課長

二つめは、この中の蓄電池を活用したV2H(Vehicle to Home)プラットフォームである「eneplat」についての紹介動画。今後、太陽光電力の自家消費が基本となる中で、家の電力を定置型だけでなくEVの蓄電池ともやりとりする仕組みを説明した。またこれらの電力は、同社の提案する「everiwa」プラットフォームを用いることで家の枠を超えて地域全体でシェアされ、必要な時に適切な価格で決済されるという。エネルギーの流れを通じても「笑顔が循環するくらしへ。」を実現するとした。

そして、これらを実際に理解し体験する展示として、今回、ブース内には4つのコーナーが設けられている。

一つは、上記V2H(Vehicle to Home)蓄電システム「eneplat」の紹介動画と実物展示。大型スクリーンは「窓」、その上部にソーラーパネル、壁面と床に各種の電力変換機器を置いて、エネルギーシステムを一軒の家に模して展示した。変換機器は、電気を蓄電用に調整する「蓄電池用コンバータ」、太陽光の電力を蓄電用と家庭内使用に変換する「パワーステーション」、EVと接続する「V2Hスタンド」の3台で、これらにより災害時に外部電源が遮断されても最長4日間は生活に必要な電力が得られるという。これはEVと定置型蓄電池の「同時充放電技術」を活用した成果で、電圧の異なる二つの蓄電池に太陽光発電電力を25%刻みで配分しながら充電・使用できるのはパナソニックだけの技術とされる。

二つめは、「Automotive Devices & Solutions」。これは、現在パナソニックグループが実際に生産し車載している60以上のデバイス類を、クルマの車体に装着したイメージで展示したもの。パナソニックグループにはモビリティ向けデバイスのサプライヤーとして「オートモーティブシステムズ」「インダストリー」「エナジー」の三社があるが、これらの製品を一つに集約して展示するのは今年が初めてという。展示台の横のタッチパネルを操作すると各々の機能・性能・特徴などがインタラクティブに図解で表示される。

この展示台は今月開催のCEATEC2023での展示と同じものだが、今回は新たにアニメ仕立ての動画を制作した。普段目にすることの少ないクルマを支えるハイテク部品について、若い世代にも興味をもってほしい、との意図だ。

三つめの「ITS搭載サイクルモビリティ(B2X)」は、「安全・快適な移動ができる交通社会」を具現化する一つの手段を体験できる展示。実際に自転車を漕ぎスクリーンに投影される交差点での出会い頭の事故を疑似体験し、車車間の位置・距離情報にもとづく「危険通知」の有り無しで、感じるヒヤリハットにどれだけの違いがあるかが体感できる。接触事故を無事に回避したのち、先を譲ってくれた相手の車両に「お礼」を送信できる機能など、車車間通信にも「気持ち」を組み込んだシステムとなっている。これはトヨタ、京セラとの協業で、近く公道での実証を行い2025年からの社会実装を目指す。

そして最後は、これらすべてのエッセンスを統合した「Mobile Living Room」(笑顔を運ぶ、くらしのクルマ)。リビングのようにくつろげる車室空間に座り、室内外に投影される映像によって「安心で快適な未来の移動体験」をするもの。

提供されるストーリーは、「流星群を見に行こう」と思い立った仲間たちが、シェアカーに乗ってハイウェイを走り、食事をし、流星を見る、という一日の流れの中で、パナソニックの提供する様々な技術によって、ひとや社会とのコミュニケーションが深まり、最後には充実した一日を振り返る、という内容で、実際に仲間のひとりとなってパナソニックの描く「2035年の、とある一日」を体験できる。

大人4~5名がゆったり乗車できる室内は、遮光・透明を電気的にスイッチできる調光ガラスに囲われ、外部に投影されるCGによるさまざまな景色で小旅行が表現される。その中には、交差点での飛び出し事故回避、ハイウェイでの「お先にどうぞ」「ありがとう」など車車間通信による「気持ち」の交換、食事時間での風力発電によるEV充電などの細かなエピソードが盛り込まれ、個々の技術がひとと社会の「安全」「快適」「エコ」と直接につながることが理解できる作りとなっている。

これらの展示についてパナソニック オートモーティブシステムズ 車室空間ソリューション室ストラテジックマネージャーの宮道敏広氏は「パナソニックは家電メーカーとして人が毎日触れる商品を作ってきた。それと同時に通信やインフラ、デバイスなどの人目に触れにくい技術も持っている。これらの知見を新しいモビリティの実現に活かしたい。シェアカーなどの普及で自家用車の稼働率は少なくなるかもしれないが、家電や住宅を使わない人はほとんどいない。その視点からもう一度『モビリティ』のありかたを再定義して、ひとと社会にとって無くてはならない『モビリティ』を、体験やプラットフォームのかたちで提案したい」と語った。

宮道敏広氏

ジャパンモビリティショー2023:テクノロジーレポート

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