HW ELECTRO：200km200万円の軽規格EV発売を目指す！【ジャパンモビリティショー2023】

同社は創業以来、本社を日本に置き小型商用EVに特化して開発・製造・販売までを手がけるファブレスメーカーで、これまで中国製EVを日本市場向けに改良した「ELEMO（エレモ）」シリーズを、リースなど幅広いルートで販売し普及を図ってきた。今回のショーでは、新たに日本初のオリジナル新車種「PUZZLE」を開発し、そのコンセプトカーを発表した。

「絵本」をモチーフにしたというブースの舞台上に一人で登壇した蕭偉城（ショウ・ウェイチェン）CEOは台湾生まれの日本育ちで、流暢な日本語を操る。「令和元年にEVベンチャーとして創業した頃は、まさかこのショーで新型車の発表を行えるとは思ってもみなかった」と、率直な感慨を述べた上で「昨今のEV化の流れの中で、EVと相性の良い小型商用車に絞って展開してきたことは正解だった」と自信を示した。さらに「次のステップは日本の軽自動車規格を満たし、日本市場にマッチした専用仕様の車を作ること」と、今回の発表の背景を語った。

蕭氏によれば「PUZZLE」の名前の由来は「HWE社が社会の『パズル』の『ピース』になること。弊社のような会社だけで、大きなイノベーションは起こせない。だが社会に無くてはならない『ピース』にはなれる。そのような意味合いを込めた」。

これに続き、軽快なBGMと共にステージ後ろの幕が開いて「PUZZLE」コンセプトモデルの実車が登場、EV走行してステージ中央で停止した。「PUZZLE」の紹介動画が投影されたあと、カーデザインを担当した株式会社Fortmareiの石丸竜平CEO・クリエイティブディレクターが登壇し、「PUZZLE」の全容を明らかにした。

石丸氏は1988年生まれ、ミラノ工科大学などで工業デザインを学び、京都でエンジニアリングサービスを行うGLM株式会社でチーフデザイナーを務めたのち2018年に独立、自動車デザイン会社を立ち上げた。

石丸氏は「PUZZLEは『みんな』のクルマである」と言う。従来のクルマはオーナーとドライバーのもの、だがこの「PUZZLE」は、その他に「すべてのひと、『みんな』のもの」だと言うのだ。しかし、すべてのひとのニーズに応えようとすれば、当然、車輌の価格は上がってしまう。

それを解決するのが「PUZZLEデザインアプローチ」。それは「『単純化』」と『共用化』とを掛け合わせる。『形が機能に従う』のではなく、『機能そのものが形となる』」。具体的にはドアパネル下部の前後、フロントバンパーと屋根など、今までにない発想で複数箇所の部品を共用化することで、ユニークで『みんな』に歓迎される外観を得るとともに、『みんな』の望む機能に充てる「余剰予算を確保できた」。その実例として、以下を説明した。

将来の「PUZZLE」については「自動車の境界を動かしながら、すべての人を包み込む『みんな』のためのクルマとなる」ことを目指し「『PUZZLE』が、未来のひとと社会にとって必要不可欠なピースとなってゆくことを確信している」と締めくくった。

ブリーフィング後の蕭CEOとの一問一答は下記のとおり。

販売開始時期については明言を避け、価格設定も野心的だが、現行の商用向け「HWEカーリース」では、「バッテリーEVの軽トラ（ELMO-K）が月額9,800円～」を謳っており、その実現は決して夢物語ではないと思われる。