【海外技術情報】スカニア&ノースボルト:トラックの一生分の走行=150万kmをカバーできるグリーンバッテリーを発表
スカニアとノースボルトが、共同開発した大型EV用バッテリーセルを発表した。両社が行った検証テストにおいてそのリチウムイオン電池は優れた寿命を示し、トラックの全寿命に相当する150万kmにわたって電力を供給する能力が得られたという。
TEXT:川島礼二郎(Reijiro KAWASHIMA)
大型トラックの寿命に相当する150kmをバッテリーの要件に設定
スウェーデンに本社を置く商用車メーカーであるスカニアと、同じくスウェーデンに本社を置くバッテリーメーカーであるノースボルトは、大型商用車用の世界をリードすることを目指して、バッテリーセルの開発と商品化に向けて協力している。両社のパートナーシップは、スウェーデン北部にあるノースボルトのギガファクトリーにおいてセルが生産されていることで結実した。さらに2023年後半には、スカニアはスウェーデンのセーデルテリエに新たにバッテリー工場を開設して、大型電気トラック用バッテリーパックの組み立てを開始する予定である。
ノースボルトのCEO兼共同創設者であるピーター・カールソン氏は以下のように述べた。
「両社のパートナーシップが始まったとき、お互いが有していた計画を可能にする、高性能バッテリーセルの開発に合意しました。このバッテリーは衝撃的な重量物輸送を実現するものです。開発と検証を経て、性能の面で当初の期待を上回るノースボルト製バッテリーセルを提供できるようになったのは、両社にとって大きな成果です」
これに応じてスカニアのCEOを務めるクリスチャン・レビン氏は以下のように述べた。
「持続可能な交通システムへの道における、マイルストーンを達成しました。重量物輸送は将来必ず電動化されます。その移行を可能にするために、スカニアは電動トラック用の最高性能のバッテリーセルを必要としています。
バッテリーセルの開発が始まったとき、私たちは高性能かつ低運用コスト、そして長寿命であることを目標にしました。大型車両の150万kmという長寿命を、セルの要件に設定しました。テストではこの要件を満たすだけでなく、それを超えることもできることがわかりました」
生産から低二酸化炭素排出を実現する
持続可能な電池供給の取り組みの一環として、ノースボルトは水力発電と風力発電により生成された100%化石フリーの電力を生産に使用している。ノースボルト工場における化石燃料フリーのエネルギーと生産機能の統合により、連続生産時の推定二酸化炭素排出量は基準セル(IVL 2019 リチウムイオン NMC 111 セル)の約3分の1を実現している。
「世界で最も環境に優しいバッテリーを構築するというノースボルトの使命は、持続可能な輸送への移行を推進するというスカニアの目的と完全に一致しています。2023年後半に高級電気トラックが発売されるのを楽しみにしています」とクリスチャン・レビンは語った。
セル仕様
• セル形式:角形
• 容量:157 Ah
• 公称電圧:3.6 V
• 寿命:大型商用輸送で150万km