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【海外技術情報】MANの総排気量15.3LエンジンがKässbohrer Geländefahrzeug製圧雪車両に採用される

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【海外技術情報】MANの総排気量15.3LエンジンがKässbohrer Geländefahrzeug製圧雪車両に採用される

MAN Truck & Busの事業部門であるMAN Enginesは、同じドイツの特殊車両メーカーであるKässbohrer Geländefahrzeug AG のフラッグシップ圧雪車両「PistenBully 800」用に、「MAN D3876」エンジンの提供を開始した。普段お目にかかることの少ない寒冷地で使用される大型圧雪車両に搭載されるそのエンジンは、総排気量15.3Lである。
TEXT:川島礼二郎(Reijiro KAWASHIMA)

直列6気筒15.3Lエンジンを寒冷地オフロード作業車に適用する

MAN Enginesの「MAN D3876」は総排気量15.3Lの直列6気筒エンジンであり、同車の製品ラインナップのなかで最も強力なエンジンである。その「MAN D3876」エンジンが、同じドイツの特殊車両メーカーであるKässbohrer Geländefahrzeug AG のフラッグシップ圧雪車両「PistenBully 800」用に採用された。そこでMAN Enginesは「MAN D3876」をさらに開発して、新たに高性能圧雪車両の過酷な作業環境に適応させた。MAN Enginesでエンジニアリング責任者を務めるWerner Kübler氏は次のように述べた。

「今回『PistenBully 800』に適合させた『MAN D3876』エンジンは、MAN Enginesのポートフォリオのなかで最も強力な直列6 気筒エンジンです。総排気量15.3Lを誇るこのエンジンは2,900Nmのトルクと612馬力(450kW)を発揮します。その結果『PistenBully 800』はシリーズで最も強力なPistenBully製品となり、斜面の雪を整える作業に充分すぎる推進力を発揮できるようになりました。

その決定的な要因の1つはVTGターボチャージャーです。可変タービンジオメトリー(VTG)により、オフロード特有の速度範囲での動的応答を最適化しています。さらにこのテクノロジーは、広い速度範囲で最大のパワーとトルクを発揮します。特に急斜面や変わりやすい地形における作業での性能を約束します。

またマイナス30°Cといった低温下のコールドスタート時の挙動を確保するため、エンジン始動時の燃焼挙動も変更しました。一方、高地での作業では、MAN Enginesのエンジニアは給気コンポーネントの動作を高地での薄い空気に合わせて再設計しました。

さらに、MAN Enginesのオフロードエンジンのスペシャリストは『MAN D3876』のオイルパンとオイルポンプを最適化しました。オンロードバージョンとは対照的に、これはすべての側面で最大 45°の傾斜角を可能にしています。

これらの開発により当社の『MAN D3876』は『PistenBully 800』の使用環境に適合されました。MAN Enginesでは幅広い用途向けの数十年にわたるエンジン開発と、親会社の MAN Truck & Busの大規模生産経験の恩恵を受けています」

同じ取り付け寸法の水素燃焼エンジンコンセプトも開発中

「MAN D3876」エンジンは2,500バールの噴射圧力で動作するコモンレール噴射システムを装備している。このシステムは市場で最も高圧力のシステムの1つであり、最適な燃料微粒化品質を保証する。その結果、燃料消費量を大幅に節約できる。

MAN Enginesの開発目標は、常に最高の燃料消費量を達成すること。これによりオペレーションコストが節約され、エンジンのCO2 排出量も削減される。具体的には「PistenBully 800」が搭載する「MAN D3876」エンジンは、現在市場で入手可能なすべての圧雪車両よりも3分の1多い推力を提供するが、それと同時に降雪1立方メートルあたり最大9%の燃料を節約して、それに応じてCO2排出量を削減する。

最新の排気技術を搭載した「MAN D3876」エンジンは、現行のEU Stage V 排出規制に準拠している。さらにこのエンジンはEN15940 規格に従って、再生ディーゼルとも呼ばれるHVO(水素化植物油)での動作が承認されている。ドライバーはHVOを従来のディーゼル燃料の代わりに使用することも、また混合して使用することもできる。MAN Engines の責任者であるMikael Lindner氏は以下のように述べた。

「再生ディーゼルは従来のディーゼルと比較して排気ガス中のCO2排出量を最大90%削減して、クリーンな燃焼を保証します。
またMAN Enginesは排気ガス中のCO2排出を完全になくすために、オフロード用途向けの水素燃焼エンジンのコンセプトをすでに開発しています。これは『MAN H4576』と呼ばれ、『MAN D3876』エンジンに基づいており、同じ取り付け寸法を採用しており、ディーゼルエンジンからの換装が可能です」

著者
川島礼二郎
テクニカルライター

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系専門書の編集者等を経て独立。フリーランスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに執筆している。

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