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【海外技術情報】MAN:過酷な使用環境に対応する堅牢かつ快適なヘンドリクソン社製ULTIMAAXエラストマーサスペンションを製品レンジに追加

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【海外技術情報】MAN:過酷な使用環境に対応する堅牢かつ快適なヘンドリクソン社製ULTIMAAXエラストマーサスペンションを製品レンジに追加

工場出荷時のカスタマイズに対応するMAN Individualの製品レンジに、新たにヘンドリクソン社製エラストマーサスペンションが追加された。一般的なリーフスプリングサスペンションに代わる軽量かつ快適でありながら重荷重にも対応できるアップデート品であり、そのうえ優れた乗り心地と堅牢性を有している。高荷重でのオフロード走行にも対応する。
TEXT:川島礼二郎(Reijiro KAWASHIMA)

近年、輸送用トラックは、建設現場やオフロードでの走行など、特定の過酷な輸送任務にも対応するよう求められている。それに適した車両を準備することは、車両の優れたパフォーマンスを担保するだけでなく、運送会社の経営にも不可欠となっている。MANトラック&バスでMAN Individualの責任者を務めるヨハネス・タルマン氏は以下のように語った。

「当社は自社車両に特別なソリューションを実装して、お客様に付加価値を生み出します。パートナーのヘンドリクソン社とともに、リアアクスルユニットにイノベーションを導入します」

ヘンドリクソン・ヨーロッパのゼネラルディレクターを務めるヘルフリード・イェリネック氏は以下のように述べた。

「当社が供給するULTIMAAXは、耐久性基準を大幅に引き上げながらも、同等の機械式サスペンションよりも最大250kg軽量であり、ヘビーデューティ用途向けの究極のエラストマー サスペンションです。軽量化により二酸化炭素排出量も削減されます。鋼材の使用量が少なく熱処理の必要がないため、リアアクスルユニットあたり合計約1.0tの二酸化炭素削減を達成できます。当社はMAN社と長年協力してきましたが、ULTIMAXを供給することでMAN社製品レンジにさらなる革新的なソリューションを提供できることを嬉しく思います」

ヘンドリクソン社のULTIMAXエラストマーサスペンション

ヘンドリクソン社とは、1913年に発明家で実業家のマグナス・ヘンドリクソンが立ち上げたヘンドリクソンモータートラックカンパニーがその源流。当初は車両生産を主業としていたが、1978年にリーフスプリングや金属バンパーの製造メーカーを傘下に持つThe Boler Companyに買収された。以降、ヘンドリクソン社はトレーラーサスペンションシステム、補助アクスルシステム、スプリング、金属バンパー、その他の頑丈なコンポーネントなどの関連分野に事業を拡大。最終的にはトラック車両製造事業は売却して、サスペンションシステムと関連コンポーネントに注力した。

そのヘンドリクソン社が大型トラック向けに開発し、MAN Individual の製品レンジに組み込まれたのが、ULTIMAAXエラストマーサスペンション。コンクリートミキサー、ダンプカー、鉱山車両、積載重量の大きいゴミ収集車両などのトラック用途に特化したサスペンションである。

ULTIMAAXは安定性、ハンドリング、走行品質を向上させるのみならず優れた耐久性を誇り、高いメンテナンス性を有している。これは荒れた路面状況に遭遇するような使用環境が想定される車両の所有者にとってメリットとなる。

ヘンドリクソン社が誇るウォーキングビームテクノロジーと特許取得済みのプログレッシブスプリングレートの統合により、過酷な環境下であっても荷重の多寡にかかわらず安定性と走行品質のバランスが確保される。衝撃や振動により生じるキャビン、シャーシ、車体へのストレスも軽減される。

車軸のウォーキングビームの設計は、タイヤを地面に接触させ続ける中央のピボットポイントが特徴となっている。これが最適なクリアランス、アクスルトラベルを提供しながら、アクスル荷重を均等化する。そのため路面の凹凸が激しくても、常に完全なトラクションを維持できる。ULTIMAAXの耐荷重は26 tであり、建設および重荷重用途に承認されている。

著者
川島礼二郎
テクニカルライター

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系専門書の編集者等を経て独立。フリーランスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに執筆している。

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